研究課題
インフルエンザA型およびB型ウイルスやその感染細胞の表面に発現するシアリダーゼの酵素活性の存在部位を簡便迅速に蛍光イメージングするプローブを開発した。抗インフルエンザ薬(シアリダーゼ阻害剤)とプローブを同時にウイルスあるいは感染細胞に反応させると、薬剤耐性ウイルスやその感染細胞のシアリダーゼ活性を選択的に蛍光イメージングすることができる。このシアリダーゼ蛍光イメージングを利用した薬剤耐性インフルエンザA型ウイルス感染細胞の高効率な新規単離法について総説を報告した。薬剤耐性化機構の効率的な解析を目的に、出芽酵母でインフルエンザA型ウイルスのシアリダーゼ発現系の構築を試みた。研究開始当初はエレクトロポレーションによる酵母の形質転換はある程度の効率を維持していたが、現在の形質転換効率は極めて低く、その原因を探索中である。薬剤耐性インフルエンザウイルスが簡単な手法で迅速に検出できれば、薬剤耐性機構の解析が効率良く実施できるはずである。そこで、シアリダーゼ蛍光イメージングを利用して、高感度、簡便、迅速に薬剤耐性インフルエンザウイルスが検出できる方法を開発することにした。ウイルス検出感度の向上と検出時間の短縮のため、遠心濃縮膜フィルターによるウイルス濃縮を導入し、シアリダーゼ反応条件を最適化した。計16分程度で、現在使用されている4種類の抗インフルエンザ薬に対して耐性化したウイルスを検出する方法を確立した。本法では、遺伝子検出機器などの特殊な機器は使用せず、携帯型UVライトでウイルスを容易に蛍光検出可能である。また、ウイルス抗原性の変化が問題となる従来の多くのウイルス診断薬と比較して、抗体を使用しない本検出法はウイルス抗原性の変化は問題とはならない。さらに、遺伝子検出法のような遺伝子配列あるいは亜型の制限は受けず、薬剤耐性変異の既知・未知に関わらず、薬剤耐性を検出可能である。
研究協力者の受賞:第63回日本薬学会東海支部総会・大会、優秀発表賞、2017年7月8日;糖鎖科学中部拠点第14回「若手の力」フォーラム、糖鎖科学中部拠点奨励賞、2017年11月11日;日本病院薬剤師会東海ブロック日本薬学会東海支部合同学術大会2017、ベストプレゼンテーション賞、2017年11月26日;公益財団法人コニカミノルタ科学技術振興財団、コニカミノルタ画像科学奨励賞、2018年2月26日
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http://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/̃biochem/index.html