生理的に重要な役割を有する脂質・脂溶性薬物の動態制御因子を同定することを目指し、研究を進めた。主に得られた成果として、LDLが脂質のみならず薬の運搬体としても機能することを明らかにすることができた。 種々のin vitro実験、in vivo実験、臨床検体を用いた解析の結果、水に溶けにくい性質をもつ薬の多くがLDLに分布すること、それらの薬の体内挙動がLDLコレステロールと同様にLDL受容体によって制御されていることを見い出した。この成果は、LDLの新たな側面を明らかにするとともに、LDLの血液中濃度の変動を考慮した薬の投与設計や薬物治療の最適化に繋がるものと期待される。
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