研究実績の概要 |
コレステロールは細胞や個体に必須だが、細胞に取り込まれたコレステロールの輸送経路は確立していない。申請者は低分子量GTP結合蛋白Rab11の結合蛋白Rab11BPが脂質輸送蛋白OSBP1を介してコレステロールの輸送に関与する可能性が高いことを明らかにした。 ①各種細胞内小器官におけるコレステロールの定量:Rab11a,b DKD, Rab11BP KD, OSBP1 KDの細胞でリソソームにコレステロールが蓄積することの確認のため、sucrose density gradientでリソソーム、RE、TGNを分画してコレステロールを定量し、リソソーム、RE中のコレステロールが増加し、TGN中では減少することを確認した。 ②リポソームを用いたRE膜とTGN膜の間のコレステロールの輸送の実証:2種類のリポソームを用意し、蛍光プローブを埋め込んでFRETをみる。具体的には、一方にはコレステロールの蛍光誘導体のDHE(dihydroergosterol)を埋め、かつRab11を表面につける(RE膜モデル)。他方にはDansyl-PEという蛍光脂質を埋める(TGN膜モデル)。通常、Dansyl-PEはDHEを励起する波長の励起光では蛍光を発しないが、Rab11BPとOSBP1を加えてDHEが輸送されると、DHEの励起光で蛍光を発した(FRET)ため、膜間の輸送を実証した。 ③In vivoにおいてREとTGNの間にRab11a,b, Rab11BP, OSBP1が存在することの証明:Rab11a,b Double KD (DKD), Rab11BP KD, OSBP1 KDの細胞でREとTGNが離れたため、その定量を行うとともに免疫電顕を行い、実際にRab11BPがREとTGNの間に局在することを示した。現在これらの結果をまとめて投稿中である。
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