研究課題/領域番号 |
16K15173
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小路 武彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (30170179)
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研究分担者 |
柴田 恭明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80253673)
遠藤 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (90516288)
末松 貴史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 技術職員 (70264249)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DNAメチル化 / ヒストン修飾 / アポトーシス / PGK1 / PGK2 / in situ PCR / 精子形成過程 / マウス精巣 |
研究実績の概要 |
平成28年度では、まずHELMET法及び様々な免疫組織化学的な反応条件を検討し、その作動上問題のないことを確認した。続いて、特に正常精巣並びにDNAメチルレベルを低下させる5-azadC投与モデル及びHDAC阻害剤であるバルプロ酸投与モデルについて組織学的検討を行った。その結果、5-azadCモデルでは、DNA低メチル化は精祖細胞のみで認められたが、精祖細胞及び精母細胞でのアポトーシスの増大とPCNA陽性精母細胞の増大も同時に観察された。この現象は、Dnmt1は全ての精子形成細胞に発現するが、DNAに取り込まれた5-azadC と結合して致死的効果を生じるDnmt3a及び3bが主として精祖細胞に発現することから、このDNA障害が精祖細胞死誘導の原因と考えられた。またPCNA陽性精母細胞はDNA障害修復系によるS期の伸長によるもので、追ってアポトーシスに至ることが判明した。バルプロ酸投与モデルでは、精子細胞に障害を与えるNaフェニルブチル酸と異なり、精祖細胞死の顕著な増大を来した。その詳細は検討中である。一方で、クロマチンの分布パターンを検討するため、X染色体に存在するPGK1 と17 番染色体に乗っているPGK2 の遺伝子局在をin situ PCR により検討するための基礎的条件を検討した。更に、合成オリゴDNAを用いた非放射性in situ hybridization 法にてそれらmRNA発現の同定も可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験系の作動確認と基礎的な実験条件の確立を終え、更にエピゲノムの人為制御による効果検証も進んでいる。またPGK1及びPGK2の遺伝子局在も、蛍光検出法により非特異的染色の低下に成功すると共に超解像顕微鏡解析が可能となり、当初の計画を若干上回るペースで進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究実施計画に基づいて、研究を進展させる。即ち、エピゲノムの人為制御としては、特にメチル基転移酵素やHATのノックダウン実験による効果検証が中心となる。またPGK1及びPGK2の遺伝子局在の変化によるクロマチン分布へのこれらエピゲノム異常誘導の影響を超解像顕微鏡を駆使して進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額が異なった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め当初予定通りの計画を進めていく。
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