研究課題/領域番号 |
16K15175
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
佐藤 二美 東邦大学, 医学部, 教授 (60205961)
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研究分担者 |
佐藤 久子 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (20500359)
山岸 晧彦 東邦大学, 医学部, 非常勤研究生 (70001865)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | D-アミノ酸 / 光キラルセンシング / 光学分割法 |
研究実績の概要 |
本研究では、ラット脳組織中の遊離アミノ酸についてD体とL体の割合を明らかにすることを目指した。背景としては、近年生体中のDアミノ酸の役割が大きな注目を浴びていることがある。従来これらアミノ酸はDNAの遺伝情報からL体に限られることが想定されてきた。しかい近年における分析技術の進歩から、D体がかなり普遍的に見出されてそれらが様々な生理活性の役割を担っていることが明らかにされてきた。脳においては、グルタミン酸やセリンなどのアミノ酸が神経伝達物質として重要な役割を果たしていることが知られている。さらに、その機能においてこれらのアミノ酸の絶対配置は大きな影響を持つことが示されている。たとえば、セリンにおいては、D体の方が受容体の役割をしていることが報告されている。しかし実際の生体においてこれらアミノ酸のDL体の割合について詳しく調べた例は報告されていない。さらに本来とは逆の絶対配置(たとえばLセリン)がどのような生理機能の影響を示すかも十分に確立されていない。そこで本研究では、ラット脳(小脳、大脳)をとりあげ、含まれる遊離アミノ酸についてそれらの絶対配置も含めて成分比を明らかにすることを目指した。 研究内容としては、ラット脳の小脳と大脳からアミノ酸を抽出し、それらをスペクトル測定のために最適なラベル化剤によってラベル化した。まず疎水性カラムを用いたHPLC法によって各種アミノ酸を分離精製し、最終段階としてキラルカラムを用いたHPLC法によってD体とL体の比を求めた。比較的若年のラットを用いてこれらの各段階を遂行することができた。その結果、脳中の種々のアミノ酸についてDL比を決定することができた。今後は種々の環境下(加齢、ストレス等)におけるラットに対して分析を行い、脳中のアミノ酸についてDLの生理活性に対する影響を明らかにする予定である。
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