研究課題
本研究の目的は、細胞にテラヘルツ波を照射して細胞の増殖能や分化能を人為的に制御する新しい技術・システムを開発することである。これまでに光技術による細胞機能制御や幹細胞分化制御について報告してきたが、光学者の未踏領域であったテラヘルツ波を細胞生物学分野にいち早く適用し、全く新しいテラヘルツバイオロジー技術の確立を目指す。研究期間1年目には、テラヘルツ波増強基板材料(非線形結晶)の1つであるテルル化亜鉛(ZnTe)の細胞適合性試験を実施し、iPS細胞、骨髄間葉系幹細胞や癌細胞に対する細胞毒性が0.25mg/mLまでは認められないことを明らかにした。そこで、本研究期間2年目は、非線形結晶存在下でも長時間に細胞が生存できることを確認するため、CytoSMART 2 Systemを購入し、タイムラプス撮影を試みている。また、1細胞に対してテラヘルツ波を照射するための1細胞光照射顕微鏡を構築し、1細胞レベルまたは2-3μmまでの大きさのテラヘルツ波増強基板材料(非線形結晶)へピンポイントで光照射を行えるシステムを構築した。さらに、このシステムはタイムラプス測定および蛍光観察が測定できる仕様とした。本研究期間はわずか2年間であったが、これらのようにテラヘルツ波増強基板材料(非線形結晶)の細胞毒性評価とテラヘルツ波照射システムの構築を行うことができた。テラヘルツ波照射システムを用いて、細胞培養液中に存在するテラヘルツ波増強基板材料(非線形結晶)に対して近赤外光を照射し、細胞近傍でテラヘルツ波を発生させることを試みる。本研究内容はこれまでに類を見ない挑戦的研究内容であり、本研究成果のような萌芽が見られたことは、今後のテラヘルツバイオロジー技術の確立にむけて大きな前進であると考えている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Photomedicine, Advances in Clinical Practice
巻: May 17th 2017 ページ: 197-213
10.5772/65747