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2017 年度 実績報告書

インスリン分泌制御における細胞骨格の役割

研究課題

研究課題/領域番号 16K15185
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

野田 昌晴  基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 教授 (60172798)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードインスリン分泌 / APC2 / 細胞骨格 / 膵β細胞
研究実績の概要

膵β細胞からのインスリン分泌はグルコースホメオスタシスにおいて中心的役割を果たしており、その異常は糖尿病等の様々な病態を引き起こす。ところが、インスリン分泌の制御機構については今でも不明な点が多い。APC2 (Adenomatous polyposis coli 2)は、細胞骨格(微小管及びアクチン繊維)の制御因子であり、主に神経系に発現している。我々は、Apc2遺伝子欠損マウス(Apc2-KO)では、糖負荷後の血中インスリンレベルが亢進しており、野生型マウスに比べて速やかに血糖値が減少することを見出した(耐糖能の亢進)。APC2は膵β細胞にも高度に発現していることから、この分子が細胞骨格の制御を通してインスリン分泌を負に制御している可能性が推察された。
本研究において、耐糖性の亢進を確認するとともに、糖負荷後の血中へのインスリンの分泌量について解析した。その結果、Apc2-KOでは、野生型マウスに比べてインスリン分泌量が有意に高いことが判明した。ところが、インスリン負荷試験の結果、Apc2-KOでは野生型マウスに比べて、インスリンに対する応答能自身は低下していることが明らかになった。これらの結果から、Apc2-KOではグルコースに応答したインスリン分泌の著しい増加があり、これが耐糖能を亢進させていると考えられた。そこで膵島を単離してグルコースで刺激したところ、両者のインスリン分泌量には差がなく、また、マウス膵島由来株化細胞においてAPC2の発現を抑制しても、グルコース及び高カリウム刺激によるインスリンの分泌量には変化がなかった。
以上の結果は、APC2が膵島細胞内ではインスリン分泌の制御には関与していないことを示している。APC2は、膵島のβ細胞に加えて、膵島に投射する神経線維に高発現していることから、自律神経系を介したインスリン分泌の制御に働いている可能性が考えられる。

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公開日: 2018-12-17  

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