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2016 年度 実施状況報告書

マウス睡眠覚醒制御遺伝子のサプレッサースクリーニング

研究課題

研究課題/領域番号 16K15187
研究機関筑波大学

研究代表者

船戸 弘正  筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 教授(WPI-IIIS) (90363118)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード睡眠覚醒 / フォワード・ジェネティクス
研究実績の概要

申請時には顕著なノンレム睡眠時間の延長を示すSleepy変異家系と示していたが、正しい遺伝子名を平成28年度にNature誌に公表することができた。Sleepy変異家系は、リン酸化酵素であるSIK3をコードする遺伝子のスプライス変異によって生じ、エクソンがスキップすることによって、優性の効果を示す。SIK3はAMPKファミリーに属するリン酸化酵素であり、脳に広範に発現している。
睡眠覚醒異常を指標とした、哺乳類を用いたフォワード・ジェネティクス研究の強力さとユニークさを広くアピールすることができた。本研究はこの家系を用いたサプレッサー・スクリーニングであり、研究成果以前に研究アプローチ自体がユニークなものである。
エチルニトロソウレア投与量やプロトコールの違いによるランダム点突然変異の頻度を検討するため、筑波大学村谷研究室に依頼し、全エクソームシーケンスを実施した。新潟大学崎村研究室で作成されたC57BL/6N系統のSIK3遺伝子変異マウスを用いている。これらのマウスは、エチルニトロウレア投与の有無にかかわらず、基礎的な睡眠覚醒行動は、ランダム点突然マウススクリーニングによって得られたSleepy家系と全く同じ睡眠異常を示す。睡眠測定や睡眠覚醒行動解析は、脳波筋電図に基づき行っている。実際のスクリーニングには、C57BL/6Nの純系ではなく、C57BL/J雌と交配させたF1世代を用いている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究そのものの基盤となる研究データを大きくアピールすることができた。研究計画に乗っ取り、ランダム点突然マウス由来の家系ではなく、新潟大学崎村研究室で作成されたC57BL/N系統にSIK3変異を導入したマウスを用いた検討を行っている。
また、申請時には、全エクソームシーケンスをテキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのNext Gen Sequence coreで行う計画であったが、筑波大学村谷研究室に、全エクソームシーケンスを依頼できるようになった。すでに複数の依頼を行い、最高品質の結果が短時間のうちに得られることを確認している。研究スキーム上の進展によって、約3ヶ月の時間短縮が可能となった。

今後の研究の推進方策

マウスを用いたフォワード・ジェネティクス研究の経験から、成功のために最も重要なファクターは、粘り強くスクリーニングを続け、多くの点突然変異マウスの睡眠を地道に測定し続けることであると認識している。
今後も、研究計画にのっとり、サプレッサー・スクリーニングを継続していく。
概して、SIK3変異マウスは自然交配では産仔数、生育仔数が非常に少ないため、人工授精によって計画的に仔を得て、雄の睡眠覚醒を検討している。雌を使用しない理由は、エストラスサイクルによる睡眠への影響と、雄よりも基礎的に覚醒時間が長いために、より覚醒時間が延長するマウスが得られにくいと考えられるためである。また、染色体マッピングのために次世代を得る上でも、精子の方が多くの仔を一度に得られる利点がある。

次年度使用額が生じた理由

マウスの産生数、飼育数、実験前後の死亡数など、必ずしも事前の計算通りには進まないため、若干の次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

マウス使用数の若干修正のみで次年度使用額は吸収される。特に、大きな実験計画変更は予定していない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Moxd1 is a marker for sexual dimorphism in the medial preoptic area, bed nucleus of the stria terminalis and medial amygdala.2017

    • 著者名/発表者名
      Yousuke Tsuneoka, Shinji Tsukahara, Sachine Yoshida, Kenkichi Takase, Satoko Oda, Masaru Kuroda, Hiromasa Funato
    • 雑誌名

      Frontiers in Neuroanatomy

      巻: 1:26 ページ: 1-13

    • DOI

      10.3389/fnana.2017.00026

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Forward-genetics analysis of sleep in randomly mutagenized mice2016

    • 著者名/発表者名
      Hiromasa Funato, Chika Miyoshi, Tomoyuki Fujiyama, Takeshi Kanda, Makito Sato, Zhiqiang Wang, Jing Ma, Aya Ikkyu, Miyo Kakizaki, Noriko Hotta-Hirashima, Satomi Kanno, Manabu Abe, Fumihiro Sugiyama, Satoru Takahashi, Kenji Sakimura, Yu Hayashi, Qinghua Liu, Kazuhiko Kume, Shigeharu Wakana, Masashi Yanagisawa et al.
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 539 ページ: 378-383

    • DOI

      10.1038/nature20142

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Identification of mutations through dominant screening for obesity using C57BL/6 substrains2016

    • 著者名/発表者名
      Mohammad Sarowar Hossain, Fuyuki Asano, Tomoyuki Fujiyama, Chika Miyoshi, Makito Sato, Aya Ikkyu, Satomi Kanno, Noriko Hotta, Miyo Kakizaki, Takato Honda, Staci J. Kim, Shigeharu Wakana, Hiromasa Funato, Masashi Yanagisawa et al
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 6:32453 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1038/srep32453

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] High-fat diet feeding alters olfactory-, social- and reward-related behaviors of mice independent of obesity2016

    • 著者名/発表者名
      Kenkichi Takase, Yousuke Tsuneoka, Satoko Oda, Masaru Kuroda, Hiromasa Funato
    • 雑誌名

      Obesity

      巻: 24 ページ: 886-894

    • DOI

      10.1002/oby.21441

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sleep as a biological problem: an overview of frontiers in sleep research2016

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kanda, Natsuko Tsujino, Eriko Kuramoto, Yoshimasa Koyama, Etsuo A. Susaki, Sachiko Chikahisa, Hiromasa Funato
    • 雑誌名

      Journal of Physiological Sciences

      巻: 66 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1007/s12576-015-0414-3

    • 査読あり
  • [学会発表] フォワード・ジェネティクスによる睡眠制御遺伝子の同定2017

    • 著者名/発表者名
      船戸弘正
    • 学会等名
      第122回日本解剖学会総会学術集会
    • 発表場所
      長崎大学(長崎市)
    • 年月日
      2017-03-28
    • 招待講演
  • [学会発表] フォワード・ジェネティクスによる過眠と肥満をもたらす遺伝子変異の同定2017

    • 著者名/発表者名
      船戸弘正
    • 学会等名
      第23回日本行動医学会学術総会
    • 発表場所
      沖縄科学技術大学院大学(恩納村)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-17
    • 招待講演
  • [学会発表] オレキシン受容体とSIK3による睡眠制御2017

    • 著者名/発表者名
      船戸弘正
    • 学会等名
      第36回日本社会精神医学会
    • 発表場所
      大田区産業プラザ(東京都大田区)
    • 年月日
      2017-03-04
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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