研究課題
本研究では,ヒトNASHに類似する高脂肪食投与p62遺伝子欠失マウスを用いて,p62を介したNASH発症メカニズムを探索し,NASH発症機転におけるp62の脂肪酸代謝および小胞体ストレス応答における機能と役割を解析する,ことを目的に研究を行った.研究は,5週齢の野生型および,p62-KOマウスに60%高脂肪食 (HFD)を摂餌させ,摂餌4, 8, 12, 16週後のマウスより,血液,肝臓,腸管,内臓脂肪を採取した.肝病理学的評価はHE染色,Sirius red染色を行い,脂肪性肝炎の病勢を脂肪化,炎症,線維化の観点よりSAF scoreによって評価した.また,各種マウスの肝組織からmRNAを抽出し,定量的PCRで肝炎症および線維化シグナル,脂肪酸代謝,小胞体ストレス応答シグナルに関わる因子を解析した.本研究により,①p62-KOマウスにHFDを摂餌させると比較的短期間に高度の脂肪性肝炎を発症した,②この脂肪性肝炎では,高度の肝障害を来し,肝組織における炎症・線維化シグナルの強い活性化が認められた,③脂質代謝のうち,特に遊離脂肪酸(FFA)の代謝経路に不均衡が認められた,④p62-KOマウスでは小胞体ストレス応答も高度であった,という結果を得た.p62はautophagyに必要な因子であることが既に知られているが,最新の知見では脂肪滴(中性脂肪)をFFAへ分解する“lipophagy”に関与することも示されており,p62遺伝子欠損がlipophagy障害を通じて,FFA代謝に影響を与え,肝脂質蓄積から脂肪性肝炎を悪化させることが推測された.今後,p62をノックアウトした肝細胞および肝臓特異的p62レスキューマウスの表現型を比較解析し,p62と脂質代謝異常,lipophagy異常への関連を探求していく予定である.
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