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2016 年度 実施状況報告書

アミラーゼに替わる唾液マイクロRNAを用いたストレスを数値化する診断法を探る

研究課題

研究課題/領域番号 16K15192
研究機関明海大学

研究代表者

栗原 琴二  明海大学, 歯学部, 講師 (10170086)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードマイクロRNA / 唾液腺 / 唾液 / ストレス / 交感神経 / 性差
研究実績の概要

副腎皮質ホルモンレベルを変動させた疑似ストレスマウスの顎下腺組織のマイクロRNA(miRNA)パターンを検討した。睾丸および副腎を摘除したマウスに糖質コルチコイドのデキサメタゾンを投与すると,miR-141-3p, miR-21a-5p, miR-29b-3pが増加した。前者2種miRNAは雄に顕著に存在することやテストステロン依存性であることから,アンドロゲンの受容体を介している可能性もある。一方,デキサメタゾンによってlet-7a-5p,let-7b-5p,let-7c-5pは顕著に減少した。これらのmiRNAに対する内因性の副腎皮質ホルモンの影響を調べるために副腎摘除の影響を調べたが全く有意差はなかった。よって,これら6種のmiRNAはストレス時のような過剰の副腎皮質ホルモンによって変動すると考えられる。
皮下にポンプを埋め込み2週間エピネフリンを連続投与すると,耳下腺のmiR-141-3pが増加した。顎下腺ではエピネフリンの影響は認められなかった。よって,顎下腺に比べ耳下腺はストレスによる交感神経亢進の影響を受けやすいと考えられる。
ピロカルピンで分泌刺激をして得た全分泌唾液中のmiRNAを比較した結果,顎下腺組織に高い割合で含まれていたmiR-143-3pは分泌されなかった。さらに顎下腺組織内に顕著に発現していたmiR-141,miR-21aは唾液中に高い割合で分泌されるが,顎下腺内量との相関は認められなかった。以上のことから,分泌唾液中のmiRNA量は腺組織内量に必ずしも相関しないと考えられる。
分泌刺激をする前にイソプロテレノールによって交感神経を刺激して得た唾液ではmiR-21a-5pが減少傾向を示した。よって,ストレス時緊張時の交感神経亢進による分泌抑制が示唆される。しかし,分泌唾液の場合,個体差が大きく唾液採取の改善が必須である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1・副腎皮質ホルモンレベルを変動させた疑似ストレスマウスの唾液腺miRNAパターンを検討 ①正常な動物の基本的なmiRNAパターンの確認はほぼ遂行できた。②アンドロゲンの影響を考慮した糖質コルチコイド投与による唾液腺miRNA発現パターンを検討。唾液腺に対し糖質コルチコイドはアンドロゲン受容体を介して作用している可能性があるため,性差やアンドロゲンによるmiRNA発現パターンと糖質コルチコイドによる発現パターンを比較検討。ほぼ遂行できた。
2・副腎皮質ホルモンレベルを変動させた疑似ストレスマウスの分泌唾液中のmiRNAパターンを検討。この項目に関しては申請時に回避策として示した腺組織内のmiRNAを測定した。副腎摘除によって動物がストレスに弱く,各群の動物数を整えることが困難であったことと,唾液中miRNAの測定値に個体差が大きく,唾液採取法の改善が必須と感じたため,改善後の再実験を試みる判断をし,安定して確実に測定できる腺組織の測定に切り替えた。組織での解析はほぼ遂行できた。
さらに,この項目に関しては糖質コルチコイドにとどまらず,皮下にポンプを埋め込み2週間のエピネフリン連続投与による長期のストレス状態が続いた状況を再現した実験も追加できた。
3・交感神経を刺激したマウスの分泌唾液中のmiRNAパターンを検討 交感神経刺激による唾液への蛋白質分泌時のmiRNAパターンを検討。唾液分泌は自律神経によって協調的な二重支配を受ける。本実験では,最初に交感神経をイソプロテレノールで刺激し,2分後にピロカルビン投与を行い,ピロカルビン単独投与によるmiRNAパターンと比較した。ほぼ遂行できた。

今後の研究の推進方策

前半,動物実験の総括を行う。27年度の結果を分析し,どんな刺激にも変動がない内部標準を見出し,それに対しストレス刺激で特異的に変動するmiRNAを判断,決定する。
ヒト唾液を採取し研究資料とするために,本学の倫理委員会で「研究課題名:唾液マイクロRNAによってストレス度合いを評価する研究」の承認を得た。
現時点での動物実験の分析結果から,どんな刺激にも変動がなくハウスキーピングに存在するmiR-148a-3pを内部標準とし,miR-141-3p, miR-21a-5p, miR-29b-3p,let-7a-5p, let-7b-5p,let-7c-5pの6種を重点的にヒト唾液を用いてストレスの分析を試みる予定である。
実際にヒト唾液でストレスの臨床的な診断が可能かどうか検証する。被験者に唾液を容器に単純に吐き出してもらい,マウスの場合と同様に唾液からmiRNAを単離し,リアルタイムPCRでmiRNAパターンを測定する。①定常時および試験期間中の学生の唾液②慢性的にストレスを訴える患者様の唾液で,ストレス度の評価を試みる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 唾液腺マイクロRNAの発現調節:更年期後のストレスのバイオマーカーとしての可能性2016

    • 著者名/発表者名
      栗原琴二,村本和世
    • 学会等名
      第58回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-08-24 – 2016-08-26

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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