• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

遅延に対する海馬の応答と機能

研究課題

研究課題/領域番号 16K15196
研究機関同志社大学

研究代表者

増田 明  同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (30612121)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード海馬 / 電気生理学 / 衝動性 / 意思決定 / 遅延
研究実績の概要

待つことや我慢することなど時間に対して適切に対応する能力は海馬を含む脳内ネットワークが重要な働きをしている。海馬がそのような意思決定の間または前後でどのような活動するのかを本研究では調べている。T字迷路における遅延割引課題中のマウス海馬でシリコンプローブまたはワイヤーテトロードによりマルチニューロン活動記録を行うことで、遅延時間中に発火する細胞群を複数細胞種で確認し、さらに海馬の遅延感受性反応の動作原理を時間情報、空間情報、報酬情報との関係性から調べた。
これまでの研究で、海馬では遅延に対し発火頻度が上昇し、しかも遅延の開始時あるいは終了時に過半数の細胞がピークを示す偏りがあることが分かった。また、遅延時の発火が「遅延そのもの」ではなく「遅延が起こる場所」に応答するでことが示唆され、遅延時の発火が遅延で「待たされるストレス誘導性の反応」ではなく「遅延後に得られる報酬を期待する反応」である可能性が示唆された。さらに、これら2つの特徴は内側前頭前野ではみられず海馬特有であることが示唆された。
本年度はさらに、海馬における遅延時の反応と衝動性との関係を調べるため、衝動性が低く抑えられているCA1興奮性細胞特異的NMDA受容体条件ノックアウトマウスでの海馬の遅延感受性細胞の発火動態を調べた。ノックアウトマウスの細胞は遅延時に発火頻度が増加する遅延感受性細胞が存在したが、遅延イベントに対し野生型のように遅延の開始と終了に大多数が反応するという偏りが消失していた。また、ノックアウトマウスの遅延感受性細胞の報酬を減らしても発火頻度が減少する傾向が見られなかった。これらのことから、衝動性が生じることと海馬の遅延に対する応答特性に関連があることが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

予定していた固執傾向のある遺伝子改変マウスの電気生理学的実験の大部分が終了し、予想していた反応性の差異を見出すことができた。

今後の研究の推進方策

今後、マウスの選択行動と神経発火パターンの相関解析を個体ごとに詳細に調べる予定である。

次年度使用額が生じた理由

未使用額はわずかであり、当初の予定通り次年度の動物での生理実験の費用に当てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Representation of delay discounting in hippocanpus medial prefrontal cortex2017

    • 著者名/発表者名
      Akira Masuda, Chie Sano, Shigeyoshi Fujisawa, Shigeyoshi Itohara
    • 学会等名
      International Behavioral Neuroscience Society
    • 国際学会
  • [学会発表] Neural mechanisms for delay-discounting in hippocampus2017

    • 著者名/発表者名
      Akira Masuda, Chie Sano, Shigeyoshi Fujisawa, Shigeyoshi Itohara
    • 学会等名
      European Behavioral Brain Science Society
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi