研究課題
スタチン発見から40年。あらゆる心血管病における有効性が基礎的・臨床的研究で明らかにされた。しかし、そのコレステロール低下作用によらない心血管保護効果(多面的作用)の本質は未だに解明されていない。我々は最近、スタチンの多面的作用の原因解明研究の結果、SmgGDSを同定した(ATVB 2013)。さらにスタチンは、心筋線維芽細胞からのSmgGDS分泌を促進し、Rac-1/Rho-kinase/ERK活性を抑制すると共に、炎症性サイトカインの分泌低下を引き起こすことを報告した(Hypertension 2016)。従って、スタチンで誘導・分泌されるSmgGDSは、心血管病発症の抑制機構を担うことから、新たな治療標的および創薬ターゲットとしても期待できる。このように本研究では、スタチンによる新規炎症制御蛋白SmgGDSを介した多面的作用の制御機構についての検証を進めている。このように、スタチンに関する一連の基礎的・臨床的研究により、スタチンの心血管病に対するコレステロール低下作用に依らない多面的作用の原因分子の一つとして、SmgGDSを同定し、その機能解析が進行中である。具体的には、SmgGDSはスタチン依存性に主に血管内皮より産生・分泌され、Rac1抑制を介して抗炎症効果を発揮するすることが分かってきた (Cardiovasc Res. 2016)。さらに、SmgGDSはRho-kinase/ERK1/2を抑制し、様々な炎症性サイトカインの産生・分泌を抑制することから、多くの心血管疾患の進行に重要な役割を有する可能性が示唆される。本研究では、これまで全く解明されていない、SmgGDSによる心血管病発症抑制機構を、組織特異的欠損マウスと過剰発現マウスを用い、各種の心血管病モデルを作成し、動物レベルで詳細な検証を進めている。
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