研究課題
各種心疾患において心筋組織の肥大、壊死、線維化といった心筋リモデリングが共通しておこることが知られているが、現有の治療では心筋リモデリングを十分に制御できていない。心筋リモデリングの進展には炎症が関与しており、炎症反応においてはプロスタグランディン類をはじめとする脂質メディエーターが重要な働きをしている。我々は心臓炎症性リモデリングの病態モデルとして自己免疫性心筋炎マウスを使用しリピドミクス解析を行った。自己免疫性心筋炎マウス群ではPGD2産生量がコントロール群に比して増加しており、H-PGDS阻害薬投与によってその量が有意に抑制されることを見いだした。さらにH-PGDS阻害薬投与群においては心筋組織の炎症および線維化が抑制されていた。また全心臓サンプルでリポカリン型PGD2合成酵素(L-PGDS)の発現量がmRNAレベルにおいてH-PGDSに比して圧倒的に高いにもかかわらず、心臓におけるPGD2の産生は炎症によってリクルートされてくる血球細胞に存在するH-PGDSにかなり依存しているという興味深い新規知見も得られた。これらは炎症メディエーターの機能制御を通じて心筋リモデリングの進展を阻止出来る可能性を示唆している。尚、本プロジェクトを遂行する過程で、マウス自己免疫性心筋炎を誘発するための従来の実験プロトコールでは、その炎症の誘発の程度において当初の予想以上に個体差が大きいことが判明した。そこで我々はより個体差が小さく安定した実験系の確立を目指し、mdxマウスを基盤とした新たな心臓炎症性リモデリングモデル系を樹立した。今後はこのモデル系を用いて更に炎症メディエーターと心臓炎症性リモデリングの関係を探索する予定である。
すべて 2017
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