研究課題/領域番号 |
16K15202
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西川 恵三 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (30516290)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | がん / 破骨細胞 / 骨転移 / エピゲノム創薬 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / Dnmt3a / 創薬 |
研究実績の概要 |
本研究は、がんの骨転移を抑えるための新たな創薬標的として破骨細胞に注目する。近年、我々は、破骨細胞制御におけるエピジェネティクスの重要性を見出し、さらに新たに探索した当該制御に対する阻害化合物を用いることで、破骨細胞形成を直接的に抑制し、骨粗鬆症治療を可能にすることを実証した(Nature Medicine 2015)。そこで、本研究では、がんの骨転移治療に対する本薬剤の有効性を明らかにすることを目的とする。これによって、『破骨細胞のエピゲノム創薬』をがん治療薬開発における新たな基盤研究として発展させることを目標に掲げる。 本年度は、マウス悪性黒色腫細胞(B16BL6細胞)を用いた骨転移モデルの作出を行い、がん細胞の骨転移を再現できる動物モデルを確立した。即ち、B16BL6細胞を左心室に105細胞移植すると、移植後2週間で悪性黒色腫細胞が骨に生着した病態が観察された。骨転移したがん細胞を定量的に評価するために、マイクロCT(μCT)解析や脱灰骨の病理組織標本を用いる方法を立ち上げた。μCT解析においては、がん細胞、骨髄細胞と骨が、それぞれ異なるCT値を示すことを利用し、CT画像を3次元構築し、がん細胞の体積や骨髄腔内の占有率などを算出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、骨転移モデルの作出に加えて、骨転移したがん細胞の定量解析法も立ち上げており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、がん細胞の移植後、DNAメチル基転移酵素の新規阻害剤TF3を経日投与することで、B16BL6細胞の骨転移能に及ぼす影響について検討することで、がんの骨転移に対する破骨細胞のエピゲノム創薬の有効性を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より骨転移モデルの作出に時間を要したために、化合物を用いた治療実験を次年度に遂行することになったために、これに要する費用が次年度繰り越しとなった。しかし、がん細胞の骨転移を定量的に解析する方法の確立など、進展した内容もあるために、全体的に研究は順調に進行していると考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
作出した病態モデルを用いて、当初の研究計画内容に従って治療実験に取り組む。
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