研究課題/領域番号 |
16K15206
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
櫻井 隆 順天堂大学, 医学部, 教授 (70225845)
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研究分担者 |
根本 直人 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60509727)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経科学 / プロテオーム / 組換え抗体 |
研究実績の概要 |
フルオレセイン標識抗体と光照射によるリアルタイム蛋白質不活性化法 (FALI) は、相互作用の場における時間分解能の高い手法である。これを効率化し、特定の細胞間相互作用に関与する細胞表面分子を同定して創薬標的探索法として確立することを目指している。cDNA display技術を単一ドメイン抗体ライブラリー(VHH)に応用してFALIを行い、細胞機能アッセイ系と一体化させるための基盤技術を確立する。 昨年度に引き続き、VHHライブラリーのcDNA display発現効率の向上のための条件検討を進めるとともに、多様性を維持したライブラリーをスモールスケールで取り扱うため、抗体様スキャフォルドの cDNA display発現効率と比較検討した。その結果、cDNA displayの収量に大きな影響があるのは、還元条件の無細胞翻訳時の蛋白質フォールディングである可能性が示された。 この結果をもとに、安定した構造を持つ抗体様分子を用いることで、高効率の発現と界面活性剤フリーの溶液への置換が可能となった。CHO細胞表面に発現させたerbBにより結合クローンを選択するモデル実験を行い、条件検討を行った。さらに、error-prone PCRによりランダム変異を導入し、高親和性クローンを選択するため off-rate selectionの条件検討を行った。 以上の成果をもとに新たなライブラリーを構築し、高効率に発現させる条件検討、固定化した標的に結合するクローン選択と高親和性のクローンを得るための変異導入条件の検討を行うモデル実験を進めてきた。今後、ハイスループット創薬標的探索法として確立するためのcDNA display高効率発現の基盤技術の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VHHのcDNA display発現効率を抗体様スキャフォルドと比較検討することにより、高効率発現を得るために重要なポイントが明らかとなり、ライブラリーの改変は必要になったものの、高効率発現の目処が立った。十分な多様性を維持したライブラリーをスモールスケールで維持することが可能となり、ランダム変異による高親和性クローン選択についても条件検討が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
上記の成果をもとに新たなライブラリーを構築し、高効率に発現させるための条件検討、固定化した標的に結合するクローン選択と高親和性のクローンを得るための変異導入条件の検討を行うモデル実験を引き続き進めていく。あわせて、細胞表面におけるクローン選択について効率的に進める条件を検討していく。 研究分担者と協議しつつ、ライブラリーの改良を進め、必要な基盤技術の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
VHHのcDNA display発現効率を抗体様分子と比較検討することによりスキャフォルドや実験条件の修正・改善により予想以上に高効率の発現が得られることが明らかとなった。今後の研究を効率的に進める上で重要なことから、その結果を踏まえてライブラリーを構築し、追加の検討を進めてきた。ライブラリ構築に時間がかかったこともあり、次年度使用額が生じたが、今後、これまでの成果をもとに、高効率発現、変異導入による高親和性クローン選択などの基盤技術確立を進める。
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