研究課題
本研究で我々は、「炎症・免疫シグナルを制御する新規脱ユビキチン化酵素の同定と阻害剤探索」として、ヒト全93種の脱ユビキチン化酵素(DUB)から炎症・免疫シグナルに重要なNF-κBとインターフェロン(IFN)産生経路の制御に関わるものを同定することを目指した。特に、LUBACによる直鎖状ユビキチン鎖生成を介したNF-κB活性化に対して抑制的に働くDUBを重点的に研究するとともに、同定されたDUBに対する阻害性化合物を探索し、生化学・細胞生物学的に解析することを目的とする。既に我々は、アポトーシス惹起時にLUBACの活性中心サブユニットであるHOIPがカスパーゼによって特異的に限定分解を受け、N末端領域ではNF-κB活性を抑制するDUBであるOTULINやCYLD-SPATA2複合体に結合し、基質であるNEMOやFADDの脱ユビキチン化を亢進することを報告した(Goto E. & Tokunaga F., BBRC, 2017)。本年度の研究で我々は、LUBACによるNF-κB活性化を抑制するDUBのスクリーニングを行い、OTU型DUBの1種が顕著なNF-κB抑制能を示すことを見出し、ConBio2017にて学会発表した。昨年度、直鎖状ユビキチン鎖を特異的に分解するOTULINに対する阻害剤を探索し、共通構造を持った4つの化合物を同定したが、今年度はさらにこれを基に11種の展開体を合成し、in vitro及び細胞レベルでの炎症・免疫シグナル抑制能を解析し、少なくともin vitroではOTULINの活性を抑制することを突き止めており、細胞レベルや個体レベルでの薬効解析を進めている。
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http://osaka-cu-1seika.umin.jp/
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/departments/bunshi-pathobiochemistry.shtml