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2016 年度 実施状況報告書

腸上皮細胞微絨毛を足場とした新たな腸管免疫の制御機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K15219
研究機関神戸大学

研究代表者

的崎 尚  神戸大学, 医学研究科, 教授 (80252782)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード腸上皮細胞 / 微絨毛 / 腸管免疫 / チロシンホスファターゼ / 腸内細菌
研究実績の概要

近年、腸上皮細胞が単なるバリアとして機能するのみならず、腸内環境を監視して腸管免疫を直接的に制御することが示唆されつつあるが、その詳細な機序は大部分が不明である。そこで、本研究では、研究代表者らが独自に見出している腸上皮細胞微絨毛を起点とするチロシンリン酸化シグナルSAP-1-CEACAM20系に着目し、腸上皮細胞による腸管免疫制御の新たな分子機構の解明を進め、本年度は以下の研究成果を得た。
1) 腸炎モデルマウス(IL10遺伝子欠損マウス)と腸上皮細胞微絨毛に局在する膜型分子CEACAM20遺伝子破壊マウスとの交配により、腸炎モデルマウスにおけるCEACAM20遺伝子の更なる欠損が腸炎の増悪化を示す傾向が認められ、CEACAM20が腸管免疫制御に関与する可能性が示唆された。
2)腸管免疫の形成やその制御には、腸内細菌が関与する。これまでに研究代表者はCEACAM20が腸内細菌によりその発現制御を受けることを見出していた。そこで、 SAP-1が腸内細菌による発現制御を受けるかにつき、無菌マウス、抗生剤投与マウスなどを用いた解析を進めたが、CEACAM20と異なり腸内細菌によるその発現制御を受けないことが示唆された。一方、CEACAM20の腸内細菌による発現制御に腸内細菌を感知する受容体として知られているTLRが関与するかにつき、TLR受容体の一つであるTLR2受容体とTLR受容体の下流シグナル分子として中心的な役割を果たすMyd88の遺伝子破壊マウスを用い解析を行ったが、CEACAM20の腸内細菌依存的な発現制御にはMyd88やTLR2の関与は低いと考えられた。
3) 腸内容物中にCEACAM20の細胞外領域に結合するリガンド分子が存在するかについて解析を進めたところ、リガンド候補分子が存在する可能性を示唆する実験結果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた個々の実験や解析が順調に進行し、十分な研究成果が得られたため、上記の様に判断した。

今後の研究の推進方策

SAP-1-CEACAM20系の腸管免疫制御への関与を明らかにするため、腸炎マウスモデルによる解析を更に行う。また、腸内細菌によるCEACAM20の発現制御機構につき更に解析を進める。加えて、CEACAM20およびSAP-1の下流シグナル分子の腸管免疫制御への関与とその制御機構について解析を進めると共に、SAP-1およびCEACAM20のリガンド分子の同定を試みる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Promotion of Intestinal Epithelial Cell Turnover by Commensal Bacteria: Role of Short-Chain Fatty Acids.2016

    • 著者名/発表者名
      Park JH, Kotani T, Konno T, Setiawan J, Kitamura Y, Imada S, Usui Y, Hatano N, Shinohara M, Saito Y, Murata Y, Matozaki T.
    • 雑誌名

      PLos One

      巻: 11 ページ: e0156334

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0156334

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Role of Src family kinases in regulation of intestinal epithelial homeostasis.2016

    • 著者名/発表者名
      Imada S, Murata Y, Kotani T, Hatano M, Sun C, Konno T, Park JH, Kitamura Y, Saito Y, Ohdan H, Matozaki T.
    • 雑誌名

      Mol Cell Biol

      巻: 36 ページ: 2811-2823

    • DOI

      10.1128/MCB.00311-16

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Future therapeutic potential of SAP-1 in inflammatory bowel diseases.2016

    • 著者名/発表者名
      Kotani T, Murata Y, Saito Y, Matozaki T.
    • 雑誌名

      Expert Rev Gastroenterol Hepatol.

      巻: 10 ページ: 1313-1315

    • DOI

      10.1080/17474124.2016.1245144

    • 査読あり
  • [学会発表] Short chain fatty acids regulate the turnover of intestinal epithelial cells2016

    • 著者名/発表者名
      金野 祐、小谷 武徳、朴 貞河、Jajar Setiawan、北村 泰明、今田 慎也、臼井 佑太郎、波多野 直哉、篠原 正和、齊藤 泰之、村田 陽二、的崎 尚
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      2016-09-25 – 2016-09-27
  • [学会発表] 受容体型チロシンホスファターゼSAP-1による腸管免疫制御2016

    • 著者名/発表者名
      村田 陽二、小谷 武徳、齊藤 泰之、的崎 尚
    • 学会等名
      第15回生体機能研究会
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場
    • 年月日
      2016-07-01 – 2016-07-02
  • [学会発表] 成熟細胞の寿命制御とその破綻による病態に関する研究-腸上皮細胞をモデルとして-2016

    • 著者名/発表者名
      的崎 尚
    • 学会等名
      第47回広島消化管疾患研究会
    • 発表場所
      ホテルグランヴィア広島
    • 年月日
      2016-05-31 – 2016-05-31
    • 招待講演
  • [備考] 神戸大学大学院医学研究科 生化学・分子生物学講座 シグナル統合学分野

    • URL

      http://www.med.kobe-u.ac.jp/tougou/signal/Home.html

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公開日: 2018-01-16  

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