研究課題
細胞増殖に深く関わることが知られているMYCタンパク質は、がん遺伝子産物の一つであり、そのMYCは、Cyclin D遺伝子などの細胞増殖に関わる遺伝子からの転写を正に制御する転写因子として、生物学的な機能を発揮していることが知られている。但し、MYCタンパク質は、単独では転写因子として機能することができず、その為にはMAXタンパク質との相互作用を必要とする。従って、MAXは、MYCに対するパートナー因子として専ら認知されている。実際、MAXがMYCと相互作用する因子としてクローニングされたという歴史的な背景もこのMAXに対する認識に大いに関係している。但し、私たちを含むいくつかのグループは、最近、MAXタンパク質が、6種類存在する、転写を強力に抑制する複合体であるPRC1複合体の中で最も非典型的複合体と称されるPRC1.6複合体の中のサブユニットの一つであり、このPRC1.6複合体による転写抑制は、Sycp3遺伝子等、減数分裂関連遺伝子にかなり特異的に作用していることを証明している。すなわち、生殖細胞は、減数分裂を開始するためにPRC1.6複合体による減数分裂関連遺伝子に対する発現抑制を解いている。このような背景を踏まえ、私は、マウス個体でも、MAXタンパク質を含むPRC1.6複合体の機能の抑制の解除が、生殖細胞における減数分裂の時期を決定しているかという点について解析した。その結果、本来、減数分裂を起こさない雄の始原生殖細胞におけるMax遺伝子の破壊に伴ったPRC1.6複合体の機能の抑制が、減数分裂関連遺伝子の発現の上昇を引き起こすことを明らかにすることができた。
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Stem Cells
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