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2016 年度 実施状況報告書

新規アルツハイマーモデルマウスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K15224
研究機関東京薬科大学

研究代表者

柳 茂  東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (60252003)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードアルツハイマー病 / ミトコンドリア
研究実績の概要

現在の日本社会において、75歳以上の4人に1人が認知症を罹患しており、今後さらに増え続けることが予想されるため、その根本的な治療法の確立が求められている。アルツハイマー病は、認知機能障害を呈する神経疾患であり、アミロイドβの産生および蓄積によるアミロイドβの線維化が発症原因だと考えられてきた。今回私たちは、アルツハイマー病のゲノムワイド関連解析よりMITOLがアルツハイマー病のリスク遺伝子候補として同定されたことから、MITOLの大脳皮質・海馬・嗅球特異的な欠損マウスを作製し、アルツハイマー病モデルマウスであるAPPswe/PSEN1dE9マウスを掛け合わせることで、アルツハイマー病におけるMITOLの生理的役割について検討した。その結果、MITOL欠損アルツハイマー病モデルマウスにおいてアミロイドβ線維およびアミロイドβプラークの減少が認められたが、予想に反して、病態は有意に悪化していた。近年、アミロイドβプラークを形成せずに重篤なアルツハイマー病を発症する遺伝子変異(大阪変異)家系が発見されたことから、凝集中間体であるオリゴマーを神経障害の原因とするアミロイドβオリゴマー仮説が提唱された。これまでの結果より、MTIOL欠損アルツハイマー病モデルマウスではアミロイドβオリゴマーが増加することが考えられ、アミロイドβがプラーク化せず、オリゴマーが蓄積することにより病態悪化を引き起こすと推測される。このことはミトコンドリアがアミロイドβの凝集メカニズムに関与するというアルツハイマー病発症の新しい知見であり、治療法の開発に期待ができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

MITOLの大脳皮質・海馬・嗅球特異的な欠損マウスを作製し、アルツハイマー病モデルマウスと掛け合わせることで、ミトコンドリア機能低下した新しいアルツハイマー病モデルマウスの作成に成功した。さらにこのマウスの解析の結果、アミロイドβがプラーク化せず、オリゴマーが蓄積するという予想外な結果を得たため、今後、新しい研究の展開が期待できる。

今後の研究の推進方策

ミトコンドリア機能低下したアルツハイマー病モデルマウスにおいて、アミロイドβがプラーク化せずオリゴマーが蓄積したメカニズムを解析する。とくに細胞内におけるアミロイドβのエクソソームを介した細胞外放出過程において異常がないかどうか検討する。さらに、ミトコンドリア機能低下したアルツハイマー病モデルマウスの認知障害の増悪するかどうか、行動解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた人件費・謝金ならびに旅費を使用しなかったため次年度繰越金が生じた。

次年度使用額の使用計画

人件費・謝金、旅費および物品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Rescue of CAMDI deletion-induced delayed radial migration and psychiatric behaviors by HDAC6 inhibitor.2016

    • 著者名/発表者名
      Fukuda, T., Nagashima, S., Abe, T., Kiyonari, H., Inatome, R. and Yanagi, S.
    • 雑誌名

      EMBO. Rep

      巻: 17 ページ: 1785-1798

    • DOI

      10.15252/embr

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Regulation of B cell differentiation by the ubiquitin-binding protein TAX1BP1.2016

    • 著者名/発表者名
      Matsushita, N., Suzuki, M., Ikebe, E., Nagashima, S., Inatome, R., Asano, K., Tanaka, M., Matsushita, M., Kondo, E., Iha, H., and Yanagi, S.
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 6 ページ: 31266

    • DOI

      10.1038/srep31266.

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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