研究課題/領域番号 |
16K15225
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
村越 秀治 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (90608142)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ペプチド / LOV2 |
研究実績の概要 |
一個のシナプス内部で、シグナル伝達分子の活性化を観察したり、自在に操作することができるようになりつつある。本研究では、アクチンの重合、脱重合を制御することでシナプスの可塑性にとって重要な役割を果たしていると考えられるキナーゼに着目し、その活性を光照射によって制御(不活化)することができる光応答性阻害ペプチド分子の開発を目的とする。この分子は細胞内で1ミクロンの空間分解能、秒レベルの時間分解能でCaMKII活性を阻害できるものである。さらに、開発した分子を海馬スライスの神経細胞に発現させ、ケイジドグルタミン酸刺激によって引き起こされる長期増強に対する各種キナーゼの機能を調べる。 Phototropin1は植物の光受容タンパク質キナーゼであり、青色光照射によって、LOV2ドメインに結合していたαへリックスが解離し、分子構造が可逆的に変化する。そこで、本年度は、CaMKII/PKA/PKC阻害ペプチドにLOV2を遺伝子工学的に融合させ、光照射依存的にCaMKII/PKA/PKC阻害ペプチドの活性が変化するようにすることを試みた。特に、リンカーの長さを変えたものを作製し、それぞれのタンパク質を大腸菌より精製し、in vitroでキナーゼアッセイを行ったところ、CaMKIIに光照射依存的に結合するLOV2とペプチドの作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった光応答性ペプチドについて、CaMKIIについてはその阻害ペプチドの光応答化に成功した。一方で、PKCとPKAについては光応答性に改変することには成功していないが、生化学アッセイに必要なキナーゼの精製、基質の選定、抗体の選定を終えており、十分な進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、PKCとPKAの光応答性阻害分子の開発に注力する。特に、変異導入やリンカーを改変し、コンストラクトをHeLa細胞に発現させ、FRETを観察することによって、それぞれのキナーゼに光照射依存的に結合する分子を同定する。
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