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2016 年度 実施状況報告書

斬新な抗腫瘍免疫活性化法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K15227
研究機関東北大学

研究代表者

五十嵐 和彦  東北大学, 医学系研究科, 教授 (00250738)

研究分担者 張替 秀郎  東北大学, 医学系研究科, 教授 (50302146)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード腫瘍免疫 / Tリンパ球 / Bach2 / 疲弊
研究実績の概要

腫瘍組織にはがん抗原を認識する細胞障害性T細胞が浸潤するものの、ほとんどは疲弊(exhaustion)し、有効な殺細胞機能を発現しない。さらに、抑制性T細胞や抑制性ミエロイド細胞が誘導され腫瘍組織に浸潤することで腫瘍免疫が無効化される。本研究では、細胞障害性T細胞機能をおさえ、抑制性T細胞分化を促進する転写因子Bach2に着目し、Bach2を阻害することで腫瘍免疫を活性化する、という斬新な治療戦略を開発する。阻害法としては、補欠分子ヘムがBach2のリガンドとして転写調節作用を抑えるという独自の知見に着目する。必要に応じて、Bach2をリン酸化により調節する上流シグナル伝達系の操作も視野に入れていく。
本年度は野生型およびBach2ノックアウトマウスから単離したナイーブT細胞を試験管内で刺激し、その活性化の過程を比較した。そして、Bach2ノックアウトT細胞では細胞傷害性T細胞の応答が増強していることを確認した。さらに、野生型マウスに対してヘムを腹腔注射し、T細胞分化等に及ぼす影響を比較した。ヘムにより著しい炎症応答が生じることから、ヘム量やヘム注射のタイミングなども検討する必要があると判断した。T細胞のヘム量測定を試みたが、これまで使ってきたポルフィリン環の蛍光測定では十分な感度を得ることができなかった。パーオキシダーゼ活性などを用いる系を検討する必要がある。系を確立した上で、δアミノレブリンサンのT細胞内ヘム量に対する効果を調べていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の最終的な目標は治療戦略の開発に資する基礎データを得ることにある。その点では、マウス個体へのヘム投与の条件などを検討できたこと、ヘム測定法の技術的課題を特定できたことなどから、次年度の研究を進める上で有益な結果を得ることができたと言える。また、Bach2ノックアウトマウスに対する腫瘍移植実験を繰り返すことで、同マウスが腫瘍免疫活性化状態を反映する優れたモデルマウスであることを確認でき、この系から重要な腫瘍免疫疲弊関連遺伝子などを同定できる可能性が見えてきたことも、注目すべき進展と考えている。

今後の研究の推進方策

得られた条件などを用いて以下の実験を進める。
1)試験管内評価(ALA添加実験):まず、試験管内培養系を用いて、ヘム量増加がCD8 T細胞活性化に及ぼす影響を検討する。野生型マウス脾臓よりナイーブCD8 T細胞を単離する。これをT細胞受容体と補助受容体をそれぞれの抗体にてクロスリンクすることで、T細胞活性化のシグナルを入れる。さらにδアミノレブリン酸(ALA)添加することで、細胞内ヘム合成を亢進させる。ヘム量の変化は、分光学的手法を用いて確認する。その上で、経時的に細胞レベルと遺伝子レベルで応答を測定する。
2)試験管内評価(ヘム添加実験):ALAの効果が十分に得られない場合は、培地にヘムを添加した上で1)と同様の検討を行う。遊離ヘムは酸素分子を活性化して活性酸素種を産生するという、細胞毒性も有する。この問題に対して申請者らは、ヘムキャリアタンパク質のヘモペキシン組み換えタンパク質を用いてヘム・ヘモペキシン複合体を調製し、毒性を最小限にするシステムを開発しているので活用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 東北大学大学院医学系研究科生物化学分野ホームページ

    • URL

      http://www.biochem.med.tohoku.ac.jp/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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