研究課題
新規オートファジーは、私たちのグループが発見した新しいタイプのオートファジーである。従来、オートファジーの実行にはAtg5やAtg7などの分子が必要不可欠であると考えられてきた。一方、新規オートファジーは、Atg5/Atg7を使わずに実行されるオートファジーである。また、新規オートファジーは、(1)酵母細胞から哺乳動物細胞まで種を越えて保存されていること、(2)新規オートファジーとAtg5依存的オートファジーは役割を分担していること、(3)赤血球の最終分化をはじめ様々な生理現象に関わっていること、などより、生体にとって欠かすことができない細胞機能であることがわかっている。本研究では、82種類の新規オートファジー誘導化合物の中から、疾患治療に応用可能な化合物の同定を目的として研究を行なっている。平成28年度は、様々な病態モデル細胞にこれらの化合物を投与し、病態を改善しうる化合物の探索を行なった。その結果、ポリグルタミン病モデル細胞に有効な化合物を2種類、がん細胞特異的に有効な化合物を3種類、肝細胞の脂肪滴除去に有効な化合物を2種類などの同定に成功した。これらの化合物は、引き続き該当する疾患モデルマウスに投与して経過を観察している。また、化合物の標的分子を同定する為の手技の開発も並行して行なっており、化合物に2種類のアジド基を付与し、紫外線を照射することによって、標的分子を効率よく同定する方法の確立に成功した。
2: おおむね順調に進展している
82種類の新規オートファジー誘導化合物の中から、様々な病態モデル細胞の病態改善に有用な化合物を複数同定できており、研究は順調に進展している。具体的には、ポリグルタミン病モデル細胞に有効な化合物を2種類、がん細胞特異的に有効な化合物を3種類、肝細胞の脂肪滴除去に有効な化合物を2種類の同定に成功している。
現在、同定した化合物を疾患モデルマウスに投与して有効性を検証しており、残りの研究期間内に、複数の病態改善化合物を同定できるものと考えている。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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