研究課題
オートファジーは、細胞が自己成分を消化し、新陳代謝などに貢献する機構である。新規オートファジー(Atg5を利用しないオートファジー)の変調は、貧血、神経変性疾患、皮膚炎、炎症性腸疾患など様々な疾患の原因となりうる。本研究では、新規オートファジーを誘導できる低分子化合物/天然物から、種々の疾患治療に資する化合物の同定を目的として研究を行なった。まず、約30000種類の低分子化合物ライブラリー/天然物ライブラリーから、約100種類の新規オートファジー誘導化合物/天然物を同定した。その後、これらの化合物/天然物を、がん、神経変性疾患、炎症性腸疾患、紫外線誘導性皮膚炎、脂肪肝などのin vitro病態モデル細胞に投与し、その有効性を検討した。その結果、各々4種類、4種類、2種類、10種類、10種類の新規オートファジー誘導化合物/天然物において、細胞レベルでの有効性が認められた。これらのうち、がん、神経変性疾患に有効性を発揮した化合物に関しては、さらに化合物の合成展開を行なった。その結果、担がんマウス、ポリグルタミン病モデルマウス、タウオパチーモデルマウスに対して抗がん作用、抗神経変性作用を発揮しうる化合物を各々3種類、2種類、2種類開発することができた。また、脂肪肝に関しては、2種類の天然物においてマウスの個体レベルでの有効性を確認できた。これらの結果より、化合物/天然物を用いて新規オートファジーを誘導することに、種々の疾患治療が可能であることが示された。
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Frontiers Neuroscience
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Cell stress
巻: 2 ページ: 55-65
10.15698/cst2018.03.127
http://www.tmd.ac.jp/mri/pcb/index.html