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2016 年度 実施状況報告書

アミノ酸代謝リモデリングによる新たな炎症制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K15234
研究機関名古屋大学

研究代表者

菅波 孝祥  名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50343752)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードアミノ酸 / 炎症 / マクロファージ
研究実績の概要

近年、免細胞内代謝が疫担当細胞の機能制御に働くことが明らかになり、免疫代謝学と呼ばれる新しい学問領域が注目を集めている。本研究では、非必須アミノ酸のセリンに着目して、代謝ストレスや栄養代謝環境による細胞内セリン代謝の変容と、その結果生じるマクロファージ機能への影響を検討する。
セリンは代表的な非必須アミノ酸であるが、マクロファージにおいては大部分を細胞外からの取り込みに依存することを見出した。即ち、セリンと、細胞内でセリンに変換されるグリシンを欠乏する培地によりマクロファージを培養すると、Phgdh, Psat, Psph等の一連のセリン生合成系代謝酵素の遺伝子発現は顕著に増加するものの、細胞内セリン、グリシン濃度は速やかに低下することが明らかになった。通常の培養条件においても、アミノ酸トランスポーターをノックダウンすると、やはりマクロファージの細胞内セリン、グリシン濃度は速やかに低下した。この時、セリン生合成系代謝酵素の遺伝子発現は、マクロファージの活性化状態や極性により明らかな差を認めた。さらに、セリン、グリシンが欠乏する状態において、リポポリサッカライドによりマクロファージを刺激すると、IL-6など一部の炎症性サイトカイン発現が有意に亢進することを見出した。以上より、マクロファージは非必須アミノ酸のセリン、グリシンを細胞外に依存しており、細胞内アミノ酸代謝がマクロファージ機能を制御しうることが明らかになった。引き続き、この分子メカニズムを明らかにするために、トランスクリプトーム解析やメタボローム解析等の網羅的解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞内アミノ酸代謝がマクロファージ機能を制御することを見出し、その分子メカニズムの解明に取り組んでいるため。

今後の研究の推進方策

細胞内アミノ酸代謝によりマクロファージ機能の変容がもたらされる分子メカニズムをトランスクリプトーム解析やメタボローム解析等の網羅的解析により検討するとともに、炎症性サイトカイン以外の細胞機能に関しても検討を進める。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究生会により、マクロファージの極性や活性化状態により表現型に差を認めることが明らかになったため、トランスクリプトーム解析やメタボローム解析等の網羅的解析の一部を次年度に回して、一貫性のある条件で効率よく実施する。

次年度使用額の使用計画

マクロファージの極性や活性化状態による細胞名アミノ酸代謝と細胞機能制御の相関を種々検討し、分子メカニズムの解明に最適な条件により網羅的解析を実施する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Antifibrotic effect of pirfenidone in a mouse model of human nonalcoholic steatohepatitis.2017

    • 著者名/発表者名
      C. Komiya, M. Tanaka, K. Tsuchiya, N. Shimazu, K. Mori, S. Furuke, Y. Miyachi, K. Shiba, S. Yamaguchi, K. Ikeda, K. Ochi, K. Nakabayashi, K. Hata, M. Itoh, T. Suganami, Y. Ogawa.
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 7 ページ: 44754

    • DOI

      doi: 10.1038/srep44754.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The H3K9 methyltransferase Setdb1 regulates TLR4-mediated inflammatory responses in macrophages.2016

    • 著者名/発表者名
      R. Hachiya, T. Shiihashi, I. Shirakawa, Y. Iwasaki, Y. Matsumura, Y. Oishi, Y. Nakayama, Y. Miyamoto, I. Manabe, K. Ochi, M. Tanaka, N. Goda, J. Sakai, T. Suganami, Y. Ogawa.
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 6 ページ: 28845

    • DOI

      doi: 10.1038/srep28845.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Inflammatory responses increase secretion of MD-1 protein.2016

    • 著者名/発表者名
      RT. Jennings, E. Odkhuu, A. Nakashima, N. Morita, T. Kobayashi, I. Yamai, M. Tanaka, T. Suganami, S. Haga, M. Ozaki, Y. Watanabe, Y. Nagai, K. Takatsu, T. Kikuchi-Ueda, I. Ichimonji, Y. Ogawa, H. Takagi, T. Yamazaki, K. Miyake, S. Akashi-Takamura.
    • 雑誌名

      Int. Immunol.

      巻: 28 ページ: 503-512

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 脂肪組織-肝臓連関の破綻による異所性脂肪蓄積の新たな分子機構2016

    • 著者名/発表者名
      菅波孝祥、田中 都、伊藤美智子、小川佳宏
    • 学会等名
      第20回日本心血管内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-12-16 – 2016-12-17
    • 招待講演
  • [学会発表] Obesity-induced adipose tissue inflammation and ectopic lipid accumulation2016

    • 著者名/発表者名
      Takayoshi Suganami, Miyako Tanaka, Michiko Itoh, Yoshihiro Ogawa
    • 学会等名
      The 10th Congress of the Asian-Pacific Society of Atherosclerosis and Vascular Diseases
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-07-14 – 2016-07-16
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Role of obesity-induced tissue remodeling in the metabolic syndrome2016

    • 著者名/発表者名
      Takayoshi Suganami, Miyako Tanaka, Michiko Itoh, Yoshihiro Ogawa
    • 学会等名
      第38回日本血栓止血学会学術集会
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2016-06-16 – 2016-06-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 脂肪組織の慢性炎症2016

    • 著者名/発表者名
      菅波孝祥、田中 都、伊藤美智子、小川佳宏
    • 学会等名
      第59回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-05-19 – 2016-05-21
    • 招待講演
  • [図書] Chronic Inflammation: Mechanisms and Regulation.2016

    • 著者名/発表者名
      T. Suganami, M. Tanaka, Y. Ogawa.
    • 総ページ数
      702
    • 出版者
      Springer Japan
  • [備考] 名古屋大学環境医学研究所 分子代謝医学分野

    • URL

      http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/4/mmm/index.html

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公開日: 2018-01-16  

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