研究課題
小胞体ストレスが癌微小環境で惹起されることから、小胞体ストレス応答の網羅的な遺伝子発現解析を行い、新規のncRNAを同定した。その予備的解析から同定したncRNAはストレス下での細胞増殖に必須で、しかもその発現はヒト腎癌患者の予後と高い相関を示すことをすでに見出している。本研究では、予備的解析から同定したncRNAと腫瘍形成の因果関係を明らかにし、その分子機構を解明して新たな腎癌治療法の基盤を確立することを研究目的としている。平成28年度は、新規同定のncRNAが腫瘍促進因子として機能するかを、ヒト患者由来サンプル、腎癌モデルマウス、ゲノム編集した細胞を用いた解析などで検証を行った。具体的には、以下の3つの解析を行い、同定したncRNAによる腎癌促進効果の検討を実施した。1. 臨床コホートサンプルで同定したncRNA発現と腎癌との相関解析2. マウスへの腎癌移植で同定したncRNAによる発癌効果解析3. AAVウィルスによる同定したncRNA発現抑制による発癌抑制効果解析
3: やや遅れている
新規同定のncRNAが腫瘍促進因子として機能するかを、ヒト患者由来サンプル、腎癌モデルマウス、ゲノム編集した細胞を用いた解析などで検証を行ったが、ncRNAによる腎癌促進効果の検討のやや時間を要している。
今度の研究として、ncRNAによる腫瘍促進効果の分子機構を、ncRNAとUVクロスリンクして単離したRNAを次世代シ ーケンサーによる網羅的解析で糸口に明らかにする。古生物TiaSによるRNA修飾とクリック反応を組み合わせたsite-specificにビオチンラベルした ncRNAをbaitとして、ncRNAとUV架橋して単離できた標的mRNAをストレプトアビジンビーズで単離 し次世代シーケンサーで同定する。ゲノム編集による同定したncRNAの標的mRNAの機能解析同定したmRNAがncRNAの標的分子として機能するかを、ゲノム編集でncRNA欠損を欠損したヒト 腎癌細胞株を作製して小胞体ストレスでの増殖効果への影響で検証する。
本研究では、同定したncRNAと腫瘍形成の因果関係を明らかにし、その分子機構を解明して新たな腎癌治療法の基盤を確立することを目的をしている。本年度においては、新規同定のncRNAが腫瘍促進因子として機能するかヒト患者由来サンプル、腎癌モデルマウス、ゲノム編集した細胞を用いた解析などで検証を行ったが、AAVウィルスによる同定したncRNA発現抑制 による発癌抑制効果解析の条件検討に多少時間が要しているため。
本年度に得られた結果をもとにncRNAによる腫瘍促進効果の分子機構を、ncRNAとUVクロスリンクして単離 したRNAを次世代シーケンサーによる網羅的解析を糸口に明らかにすることを目的としているため、次世代シークエンサー受託解析や組織標本作製の経費、また研究成果発表費として学会への旅費、雑誌投稿料の経費にあてる。
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PLoS One
巻: 11 ページ: e0155751
10.1371/journal.pone.0155751
Sci. Rep
巻: 6 ページ: 38398
10.1038/srep38398
Sci Rep
巻: 6 ページ: 32886
10.1038/srep32886