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2017 年度 実施状況報告書

老化細胞クリアランス機構の解明による「老い」の分子基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 16K15238
研究機関東京大学

研究代表者

城村 由和  東京大学, 医科学研究所, 助教 (40616322)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード老化 / がん / クリアランス / 脂質
研究実績の概要

細胞老化は、恒久的増殖停止を特徴とする細胞表現で、抗腫瘍機構として作用する。最近、早老症モデルマウスから老化細胞を人工的に除去すると、「老い」の進行が遅延することが報告され、細胞老化が個体老化の主な原因であることが示された。しかし、加齢に伴い老化細胞が蓄積する機構は不明である。申請者は老化誘導機構を解明し、DNA損傷非依存的に老化細胞を誘導することを可能にした。驚くべき事に、誘導した老化細胞では、貪食シグナルとなるホスファチジルセリンが膜表面に露出する事を見出した。本研究では、老化細胞の膜表面に露出したホスファチジルセリンの貪食シグナルとしての役割とその制御機構を解明し、老化細胞クリアランスが個体における老化細胞の蓄積や老化・老年病発症に及ぼす影響を明らかにする事を目的とする。
1. 老化細胞特異的に発現が減少するフリッパーゼの同定
前年度、細胞老化において発現が低下するフリッパーゼの候補として、ATP11Cを同定した。そこで、様々な老化誘導系における発現変化を解析した結果、あらゆる条件でATP11Cの発現が減少することを見出した。また、市販の抗体ではウエスタンブロットによる検出が困難であったため、バキュロウイルスシステムによりリコンビナントATP11Cタンパク質を精製し、抗体の作製を行った。
2.ATP11C発現抑制・過剰発現が老化細胞におけるホスファチジルセリンの露出に及ぼす影響の解析
レンチウイルスシステムを用いて、ATP11Cの発現抑制・過剰発現株を樹立した。その結果、正常細胞におけるATP11Cの発現抑制だけでは、ホスファチジルセリンの露出は起こらないことが分かった。また、老化細胞におけるATP11C過剰発現だけでは、ホスファチジルセリンの露出を抑制することはできなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

老化細胞で発現が低下するフリッパーゼの候補として、ATP11Cを同定することはできた。しかし、発現抑制・過剰発現系の解析から、ATP11Cの機能だけでは、老化細胞におけるホスファチジルセリンの露出を説明できない可能性が示唆されたため。

今後の研究の推進方策

前年度の解析では、ATP11Cの発現抑制だけでは、正常細胞においてホスファチジルセリンの露出は起こらなかった。その可能性として、ATP11Cと構造・機能的に類似したATP11AとATP11Bが機能を補完している可能性が考えられる。そこで、ATP11A-Cの三重発現抑制細胞株を樹立して、ホスファチジルセリンの露出に対する影響を解析する。一方、過剰発現系に関しては、市販のATP11C抗体の特異性の低さが原因で、内在性のタンパク質に対して、どれくらい過剰に発現しているか不明であるため、現在、作製中の抗体を用いて検討する。また、ATP11C以外にホスファチジルセリンの露出に関与する遺伝子を単離するために、ホスファチジルセリンの露出を指標にIn cell analyzerを用いたファンクショナルスクリーニングを行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The G2 checkpoint inhibitor CBP-93872 increases the sensitivity of colorectal and pancreatic cancer cells to chemotherapy.2017

    • 著者名/発表者名
      Iwata T, Uchino T, Koyama A, Johmura Y, Koyama K, Saito T, Ishiguro S, Arikawa T, Komatsu S, Miyachi M, Sano T, Nakanishi M, Shimada M.
    • 雑誌名

      Plos one

      巻: 12 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0178221

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 実験医学2017

    • 著者名/発表者名
      城村由和、中西真
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      978-4-7581-0167-7

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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