上皮-間葉移行(EMT)により間質細胞様の形質を獲得した癌細胞は、浸潤・転移しやすい微小環境を周囲に作り出すとともに、種々の癌治療に抵抗性となる。そこで癌特有の微小環境が構築される以前の早い段階でEMTの判別と治療抵抗性を予測し得る血清診断マーカーの獲得を目的として、EMTを誘導した肺腺癌細胞で分泌が亢進するタンパク質を網羅的に解析した。結果、細胞外基質タンパクやサイトカインを含む34個のタンパク質を「マーカー候補」として同定した。中でもLUMやMIFは肺腺癌患者血清中への分泌亢進が認められ、EMTに基づく高悪性度症例を早期に検出できるバイオマーカーとしての有用性が期待された。
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