OCCCaにおけるLEFTY発現とアポトーシスの関連性 シスプラチン(CDDP)処理を行ったTOV-L1細胞株は、生存能力の低下とsub-G1期・G2/M期の分画が増え、G1期分画が減った。mockと比較すると、X-linked inhibitor of apoptosis protein (XIAP)、pSmad2、p27kip1の発現低下、p53、bax、p21waf1、cleaved caspase -3の発現上昇が見られた。似たような結果は、ES-L1細胞株でも見られた。2つの細胞株において、CDDP処理によって、Bcl2/bax比もまた著明に低下していた。臨床検体症例では、OCCCaにおけるアポトーシス細胞は、LEFTY免疫染色に陽性であった。アポトーシス数は、LEFTY高値症例のほうが、低値症例よりも著明に多かった。 CDDP処理をしない場合においても、mockと比較してOV-shL1細胞ではアポトーシス細胞数は多かった。これと同時に、G1期の分画も増えているが、CDDP処理に反応するアポトーシス細胞数は、OV-shL1のほうが明らかに低下した。XIAP、pSmad2、bcl2の発現上昇も見られた。対照的に、細胞の生存能力はmockとTOV-L1の間に差は認められなかった。これらの関係は、TUNEL法においても観察された。 LEFTYによるSmad2依存XIAP発現の転写阻害 TGF-β1処理をしたIshikawa細胞は、mRNA、タンパク質レベルともにXIAP発現の上昇とともに、pSmad2とLEFTY発現も上昇した。TOVおよびESにおいて、XIAPのプロモーター活性はSmad2導入により上昇したが、この効果はLEFTY1導入を同時に行うことにより、無効化されて、内因性のXIAP mRNA発現も低下していると考えられた。OCCCa組織において、免疫染色で細胞質にXIAP陽性の細胞は腫瘍内に不均一に存在し、pSmad2陽性細胞とは局在が一致し、LEFTYとは一致しなかった。この結果は、OCCCaにおいて、XIAPとpSmad2が正の相関関係にあり、LEFTYとは相関しないことを示している。
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