GPCRは生命現象において多くの重要なシグナルを仲介し、創薬の主要なターゲットにもなっている。ヒト先天性奇形の顎顔面異型性症Mandibulofacial Dysostosis (MFDA)の原因遺伝子異常の一つがエンドセリンA受容体(ETAR) の一塩基変異であるが、本研究では、CRISPR/CASを用い変異マウスモデルとエンドセリン3(ET3)ノックアウトマウスを作成しET3/mutant ETARのgain-of-functionが原因であることを示し、薬理学的実験よりリガンド親和性またはGq 活性化・basal activityの増強が原因であることを示した。特に細胞質内側1アミノ酸変異(E303K6.32)でも、細胞外側のリガンド親和性を増加させたことはたいへん興味深い結果であった。Helixの動きをMolecular Dynamics simulationにより解析すると、mutationによりhelix間の水素結合が破綻しTM6のflexibility を増加させたことから、G-protein-mediated enhancement of agonist affinityによりET3親和性を上昇させたと考えられた。一方、Y129はNa/water pocketとligand binding pocketの間に位置し、Y129F2.53変異は水分子との結合が消失しET3affinityを得たと考えられた。以上のように臨床例を端緒として、そのメカニズムを実験的に評価し、分子動力学的な変化からそのメカニズムを解明したことに意義がある。(投稿準備中) 今後このマウスの老化の変化でヒト症例の予後が予想、予防できる可能性がある。
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