研究課題/領域番号 |
16K15264
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岩永 史朗 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20314510)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マダニ |
研究実績の概要 |
本研究ではOrnithodoros属マダニより見出したTick adrenomedullin (TAM)遺伝子の水平伝播に関し、その更なる証拠を得るためにOrnithodoros属マダニとしてO.moubataをCarios属マダニを試みる。両マダニは極めて類似した形態を持ち、進化的に最近縁関係にある。昨年度までに実験試料となるC.capensisの採取を行い、 成虫メスのC.capensisからゲノムDNAを精製し、配列決定用の高純度DNAの調 製を行った。その際はマダニ個体間での遺伝子配列の多型による影響を排除するために両ダニの各1個体よりゲノムDNAを抽出した。そ の結果、配列決定に使用可能な純度のゲノムDNAを精製できた。続いてゲノムDNAを超音波破砕により断片化し、塩基長600~1000bpの 断片からPCRフリーショットガンライブラリーを作成した。得られたライブラリーを次世代解析に供した結果、C.capensisのゲノムサイズが巨大であることが判明し、デノボでのアッセンブルは極めて困難であることが判明した。そこでcDNAに対象を変え、現在、TAM類似物質の探索を行っている。一方、O.moubataの成虫メスのゲノム配列解析の結果、ヒトアドレノメデュリンで見られるエクソンが特異的に消失していることが判明した。これにより、進化の過程で吸血に必要のない領域は消失することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ornithodorosのゲノム配列解析から目的とする領域の配列情報を得ることができ、さらにエクソン消失に見られるマダニの進化過程における影響をみることができた。
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今後の研究の推進方策 |
O.moubataの解析が終了し、次にC.capensisの解析を進める。現在、ゲノムから直接解析することが技術的に困難であることが判明したので、cDNAからの解析を進めている。これにより部分配列情報が得られれば、ゲノム解析に進む予定である。これにより、当初予定していたOrnithodorosに特異的な水平伝播を証明できると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
Carios属マダニの次世代シークエンサーによるゲノム解析においてシークエンス作業後のデータ解析が中心となったため、実際のランにかかる費用が見込みよりも小額となった。一方、解析をcDNAから進めることにより、今後は試薬に掛かる費用が増額されつと見込む。
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