研究課題/領域番号 |
16K15265
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
油田 正夫 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90293779)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人工染色体 / マラリア原虫 |
研究実績の概要 |
本年度はトランスポソーム作製とその活性評価を目的としてテロメア配列付加用コンストラクト及びセントロメア+選択マーカー挿入用コンストラクトの構築を実施した。 1.トランスポソーム作製用コンストラクトの構築 テロメア配列は申請者らがすでに所有している人工染色体作製用コンストラクトからPCRで必要部分を増幅することで調整した。選択マーカーとしてはbidirectional なPlasmodium berghei elongation factorのpromoterの下流にhumanDHFR遺伝子とGFP遺伝子の両者を配置することで作製した。セントロメアは同様に申請者らが所有している人工染色体コンストラクトからPCRで必要部分を増幅して調整した。これらのDNA断片をepicentre社のトランスポゾンプラスミドベクターにサブクローニングしトランスポゾン配列を付加した。 2.トランスポソーム作製と活性の評価 完成したプラスミドからトランスポゾン配列を付加した断片を切り出し精製した。まずテロメア配列付加用コンストラクトを用いトランスポソーム作製を試みた。作製はトランスポゼースと精製したテロメア配列付加用コンストラクトを溶液中で混合することで完了する。おおもとのテロメア配列付加用コンストラクトから何種類かの希釈系列を作製し、異なる濃度のトランスポソームを調整した。次にこれらを実際のマラリ原虫のゲノムDNAに加えて切断反応をおこなった。トランスポソームによるDNAの切断反応は一分子一回限りでありテロメア配列を末端に付加し終了する。現在作製したDNA断片の平均長を測定し、大部分の断片を10kbp程度に切断するために必要なコンストラクト量の決定を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標はテロメア配列付加用及びセントロメア+選択マーカー挿入用の2種類のコンストラクトを構築すること及びこのコンストラクトをもとに作製したトランスポソームを用い実際のマラリア原虫ゲノムを切断し、その活性の評価を行うことであった。このうちコンストラクトの作製は終了し活性の評価もその最終段階に入っている。従って研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
29年度はまず作製した2種類のコンストラクトによるトランスポソーム生成活性の評価を終える。また作製したトランスポソームを使用して実際に人工染色体ライブラリーを作製しマラリア原虫にトランスフェクションし本コンセプトを実証する。 1.トランスポソーム活性の評価。作製したトランスポソームから、大部分の断片が10kbp以上になる濃度を決定する。DNAは1 ugを使用しこれを10 kbp以上に切断する最小量を1ユニットとする。DNAのサイズはアジレント社のバイオアナライザーを用いて決定する。 2.人工染色体ライブラリー作製とトランスフェクション。マラリア原虫ゲノムを用いて人工染色体ライブラリーをトランスポソームを用いて作製する。ゲノム1 ugに対しトランスポソームストックを1対2ユニットの割合で加え十分に混合する。この溶液にマグネシウムを加えトランスポソームを活性化する。完成した人工染色体を直接導入法でマラリア原虫に導入する。24時間後にFACSでGFP陽性原虫の割合を解析しトランスフェクションの効率を評価する。セントロメア+選択マーカー挿入用トランスポソームの量はトランスフェクションを異なった比率で加えることにより最適化する。最後に最適化した条件をもとに薬剤耐性株からでゲノムを10カバー以上するライブラリーを作製し、耐性遺伝子を同定することで本技術を実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度計画していた実験のうちトランスポソーム活性の評価は現在継続して実施中であり、その分の試薬購入費が次年度に使用されることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
トランスポソーム活性の評価に使用するトランスポゼースの購入及びバイオアナライザー等の測定装置の試薬類購入に使用する予定である。
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