研究課題
目的:マラリアは、毎年2億人余りが罹患し約60万人が死に至る感染症であるが、ここ数年来マラリアによる死亡者数は減少傾向に転じ、マラリアエリミネーションが視野に入ってきた。そのためには、アフリカ諸国で蔓延している熱帯熱マラリアのみならず、アフリカ以外のマラリア流行地域において患者数がそれと同等の三日熱マラリア対策も必須となっている。しかし、三日熱マラリアは肝内休眠型による再発をおこすことが知られており、その対策は困難を極めている。三日熱マラリア原虫は網状赤血球のみに侵入することから、網状赤血球結合タンパク質(Reticulocyte-binding protein、以下RBP)が同定され、さらにRBPは9種類の遺伝子からなるファミリーであることが判明した。しかし赤血球側レセプターの同定等の研究は全く進んでいない。さらに、インビトロ培養法が確立されていないため研究が非常に遅れている三日熱マラリア原虫の、感染分子機構の理解を深めるため、赤血球侵入に必須の網状赤血球結合タンパク質(RBP)をモデルとして、その赤血球側RBP結合タンパク質を同定することを目的に本研究を行う。平成28年度の実績概要:マラリア原虫の高品質組換えタンパク質合成に優れるコムギ無細胞法を用いて、三日熱マラリア原虫ゲノムに存在する9種類の全てのRBPを組換えタンパク質として合成することが出来た。次に、コムギ無細胞法を用いて作製した2万種類のタンパク質から構成されるヒトプロテインアレイに対して、三日熱マラリア原虫RBPタンパク質を用いた結合タンパク質のスクリーニング系を構築するために、9種類のRBPの合成時に付加するアフィニティータグを検討し、適切なタグを同定することが出来た。
3: やや遅れている
RBPタンパク質合成に、予定より時間をとられたため。
2万種類からなるヒトプロテインアレイは既に準備完了しているため、RBP結合タンパク質のスクリーニングは当初の予定通り進めることが可能である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Sci Rep
巻: 6 ページ: 32159
10.1038/srep26993
http://www.pros.ehime-u.ac.jp/malaria/