近年の疫学研究から発がん性病原タンパクCagを産生するヘリコバクター・ピロリ菌感染と狭心症・心筋梗塞などの心血管病変との関連が示唆されている。我々は、ピロリ菌により胃上皮細胞内に注入されたCagAがエクソソームの構成成分として全身循環系に移行することを見出した。本研究ではピロリ菌CagAが血管内皮細胞にEMT様の形態変化と運動性亢進を引き起こすことを明らかにした。さらに、CagAを消化管上皮ならびに血管内皮特異的に発現する遺伝子改変マウスを作成し、 CagAによる心血管病変発症を検証するためのマウスモデル系樹立に成功した。
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