EHEC O157に特異的に発現している外膜タンパク質に特異的に結合するタンパク質の結合ドメインをOMV産生大腸菌の表層に外膜タンパク質との融合タンパク質として発現させた。この融合タンパク質を産生する大腸菌よりOMVを精製し、EHEC O157に対する結合を検討したところ、結合ドメインを持つ融合タンパク質を発現する大腸菌より精製したOMVのみがEHEC O157 と結合し、対照の結合ドメインを持たないタンパク質を発現させた大腸菌のOMVは全く結合しなかった。すなわち、EHEC に特異的に結合するOMVの産生に成功した。つぎに、同じ菌に接触依存性増殖阻害を引き起こす毒素を発現させ、OMVを精製し、これをEHEC O157に作用させた。その結果、結合ドメイン含有融合タンパク質を発現し、さらに毒素を産生する大腸菌より精製したOMVが他の対照菌株より精製したOMVと比べ10倍程度の増殖阻害効果を示した。これらの結果より、当初の目的であったEHEC 特異的に増殖阻害できるOMVの作製に成功した。しかし、阻害効果が想定よりも弱く、今後は特に毒素について改善していくことで実用的なレベルになると期待できる。
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