研究課題/領域番号 |
16K15277
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大原 直也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70223930)
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研究分担者 |
中山 真彰 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10579105)
大原 直子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80301365)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マイコバクテリウム / 増殖 / 葉酸代謝 / 結核 / BCG |
研究実績の概要 |
結核ワクチンであるBCGのチミジル酸合成酵素の遺伝子であるthyXを乗せたプラスミドを構築し、BCG Tokyo株に導入することでthyX過剰発現BCG株を作製した。対象としてもうひとつのチミジル酸合成酵素の遺伝子であるthyAの過剰発現株、thyA欠損株およびthyX欠損株を用いた。thyX過剰発現株の増殖速度は親株であるBCG Tokyo株や、もうひとつのチミジル酸合成酵素の遺伝子であるthyAよりも顕著に速かった。thyX欠損株の増殖速度は親株の増殖速度と差は無かった。しかし、thyA欠損株の増殖は顕著に遅れていた。これは通常チミジル酸合成酵素としてThyAを優先的に使用していることに関係していることが推測された。 thyX過剰発現株の増殖速度が顕著に促進される原因を探るために、RNAseq等の手技を用いた解析を試みた。増殖の差が最も顕著となる7H10-ADC寒天培地で親株とThyX過剰発現株を培養し、1あるいは2週後に菌体を回収して、全RNAを調製した。RNAseqは外部に委託した。ThyX過剰発現株で発現量の高い遺伝子群としては、DNA合成に関与する酵素、葉酸代謝(テトラメチルジヒドロ葉酸分解酵素など)、そして一部のアミノ酸代謝の経路に位置する酵素の遺伝子などが抽出された。これらの一部に対して定量RT-PCR法を行い、RNAseqの結果が正しいことを検証した。現在発現量の変化していた遺伝子が、増殖速度を変化される原因になっているのか、あるいは増殖速度が変化した結果、その遺伝子の発現が変化したのか(結果)について検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に速育化の解析と共に速育化の宿主内生存における影響の解析を始める予定であった。しかし、速育化の解析に予想以上に時間を費やす結果となり、全体の進捗がやや遅れ気味となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究の方向性については当初の予定から大きく変更することは無い。しかし、前項に記載したように全体の進捗はやや遅れ気味である。この遅れを取り戻すため、新たに分担研究者を1名追加し(現在変更の申請中)、研究体制の強化を図っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に速育化の解析と共に速育化の宿主内生存における影響の解析を始める予定であった。しかし、速育化の解析に予想以上に時間を費やす結果となり、全体の進捗がやや遅れ気味となった。それに伴い、予算の執行状況にも反映される結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の方向性については当初の予定から大きく変更することは無い。しかし、研究全体の遅れを取り戻すため、新たに分担研究者を1名追加し(現在変更の申請中)、研究体制の強化を図っている。これに伴い、全体の予算すべてを最終年度(平成29年度)に執行予定である。
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