研究課題
本研究は、CRISPRゲノム編集法を駆使し、単純ヘルペスウイルス(HSV: herpes simplex virus)増殖を制御する宿主細胞因子を網羅的に同定し、その制御機構を解析することで、HSVの増殖機構を解明することを目的としている。これまでに、リポーター遺伝子産物がHSV粒子中に取り込まれるリポーターウイルスを作成し、作成したリポーターウイルスを用いて、CRISPRゲノム編集法を利用したゲノムワイドスクリーニングを実施した。その結果、HSV増殖に重要な役割を果たすと考えられる宿主細胞因子を複数同定している。本年度は、特にウイルス粒子産生機構に貢献する宿主因子の解析を行い、HSVが宿主のESCRT-III機構を乗っ取って核内膜からの出芽を引き起こすことを明らかにした。ESCRT-IIIに関連するいくつかの因子を欠損すると、核内膜からのウイルスカプシドの出芽が阻害され、ウイルス増殖が著しく抑制されることが明らかとなった。HSVのウイルス粒子産生の分子機構には未解明の点が多かったが、今回その分子メカニズムの一旦を明らかにし、評価の高い国際雑誌(Nature Communications)において発表するとともに、プレスリリースを行い、成果を広報した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41467-018-05889-9
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/Kawaguchi-lab/KawaguchiLabTop.html