研究課題
HIV/AIDS感染症分野では、多くの基礎研究や臨床試験が行われて来たが、エイズワクチンは未だ効果を発揮するに至っていない。抗レトロウイルス薬剤は、優れた有効性を示して来たが、未だ治癒に向けての戦略を描けていない。抗レトロウイルス薬剤はサブサハラアフリカなどのHIVが激しく流行する地域においても行き渡りつつあるが、それだけに次の課題(Off Therapy)に向けた基礎的な研究が強く求められている。例えば、ヒストンデアセチレース阻害剤で再活性化したウイルス感染細胞に対して、CTL応答が乏しいという報告が相次いでおり、新たな研究の展開が求められている。本研究では、これまで単に凍結保存していた感染者由来の細胞を用いることで、①新しいエフェクター細胞サブセットの探索、②HLAクラスⅠ以外の分子が担う抗原提示の可能性の検討、および、③HLA分子による抗原提示と免疫逃避の解析を目的とした。しかしながら、昨年度までの検討で、これまでに凍結していた感染者由来の細胞を用いたアプローチは成功に至らなかった。そこで本年度は、HLAクラスIに提示された抗原ペプチドを高感度に検出できるT細胞レセプターバイオアッセイ系の構築と改変を行い、HIV Nefによる発現低下を検出可能なほど感度が高いアッセイ系の構築に至った。また、HLA分子による抗原提示からの免疫逃避機序の解析を行い、HLA-AおよびHLA-B拘束性エピトープに対して、HIVによる免疫逃避が異なった影響を示すことを明らかにした。得られた結果は、学会発表および論文としてまとめて報告した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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