研究課題/領域番号 |
16K15285
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
田中 勇悦 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30163588)
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研究分担者 |
保富 康宏 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, センター長 (90281724)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | HTLV / monkey / infection / vaccine |
研究実績の概要 |
成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルス(HTLV-I)は、キャリアの母親から乳児に主に母乳を介して垂直感染する。キャリアの数は日本では沖縄九州地方を中心に100万人以上と推定されており、感染拡大対策として、母子感染を予防する医薬品等の開発が強く望まれている。しかし、それらの医薬品候補を前臨床試験として評価する霊長類の実験系は未だ確立されていない。本研究は、研究代表者のこれまで培ったHTLV-I感染実験のノウハウを基盤に、霊長類を用いた感染症研究のエキスパートである研究分担者と協力し、我が国で入手可能であるSPFグレードのカニクイザルを用いて、新たなHTLV-I母子感染阻止評価系を開発することを目的とした。 HTLV-Iは感染細胞を介して非感染細胞へ伝染する。そこで、in vitroの実験でカニクイザルに感染を効率良く成立させるため、感染性の高いHTLV-I 産生ヒト細胞株を選出した。沖縄のATL患者あるいはキャリアから得られた複数のHTLV-I感染細胞株をマイトマイシンC処理後にPHA活性化末梢血液単核球(PBMC)と混合培養し、細胞のtransformation能を比較し、最も感染性の高い細胞株としてATL-040とATL056i を選択した。次にSPFの雌のカニクイザルに対し、これら細胞株を単独あるいは混合して5 x 107個の細胞を経静脈接種し、掲示的に採血してHTLV-I感染細胞の有無をPCR法で、抗体の陽転をPA凝集法とWB法で解析した。現在まで、4例中4例の個体でHTLV-I感染が成立したことが、観察期間内(~6ヶ月)の持続的なPCR陽細胞の検出と抗HTLV-I抗体の陽転化および維持で検証された。現在、これらキャリア化した雌ザルの自然交配による妊娠準備に入っており、目的である霊長類におけるHTLV-I母子感染のモデル作製のゴールは近い。
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