成人T細胞白血病の原因ウイルス(HTLV-I)の感染拡大対策として、母子感染を予防する医薬品等の開発が強く望まれているが、その前臨床試験として霊長類の実験系は未だ確立されていない。そこで、本研究はカニクイザルを用いた新たなHTLV-I母子感染阻止評価系を開発することを目的とした。HTLV-I感染性の高い細胞株を選択し、雌のカニクイザルに静脈内接種した。4例中4例の個体でHTLV-I感染が成立したことが、PCR陽細胞の検出と抗HTLV-I抗体の陽転化および維持で検証された。現在、これらキャリア化した雌ザルの自然交配による妊娠/出産の準備に入った。
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