研究課題
特定の遺伝子の活性を、「ある時空間のみ変異させ」、将来どのような効果をもたらすかの検定の重要性は言うまでもない。例えば、B細胞の場合胚中心(GC)反応を経て、メモリー細胞が形成されるわけであるが、GCの過程で生じる変化が、メモリー細胞機能にどのような影響を与えるかは非常に重要な命題にもかかわらず、この命題へのアプローチが困難を極めている。ある酵素の阻害剤は、in vivo投与した場合、その特異性を十分に担保さすことが非常に困難である。又、個体の中で、どの細胞の酵素を阻害して、表現系が表出しているのかを特定できない。従って、その結果の解釈に常に疑義がはさまれることになる。この特異性の点を克服するために、本研究では酵素遺伝子サイドに変異を加え、この阻害剤の特異性を飛躍的に上昇させ、この変異遺伝子と新規阻害剤の組み合わせで、可逆的in vivo阻害をおこなおうとするものである。具体的には、SykのATP結合ポケットを伸長する変異を数種類作成し培養細胞DT40にノックインした。このノックイン変異が野生型と同様に機能することは生化学的検定、細胞応答検定より確認した。更に、この細胞を用いて、変異Syk特異的阻害剤をスクリーニングして、一番効果的にSykの酵素活性のみ阻害した阻害剤を見つけた。さらにこの阻害剤を、wash outの後、酵素活性が復活するものを選択した。現在、このSyk変異体のtransgenic mouseの作成中である。
2: おおむね順調に進展している
Syk変異体の作成、この変異体を可逆的に阻害する薬剤の選別も順調に進んだ。このdataをもとに現在変異Syk transgenic mouseを作成中である。
必要な実験材料も樹立しているので、予定どおり、個体レベルでSykの可逆的阻害の行えるマウスを用いての研究を行うようにする。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 10件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 10件) 備考 (1件)
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