研究実績の概要 |
質問力育成のために、「質問評価表の作成」「学内の発表会における質問振り返り表の提出とフィードバック」「学会における質問の見学・評価・実践」という3段階による教育手法の開発を計画した。今回、第1段階の質問評価表の信頼性・妥当性を検討した。 「重要性」「独自性(意外性)」「レトリック」「ミクロかマクロか(以上、5段階評価)」「benefitの及ぶ範囲(『質問者にとどまる』『聴衆に及ぶ』『発表者にまで及ぶ』の3段階評価)」の5項目による質問評価表の信頼性・妥当性を2つの学会で検討した。学会参加予定の教員5~6名(主に他大学)に事前に主旨を説明し評価を依頼した。評価者は、学会会場で同一演題の同一質問に対して評価表を用いて別々に評価し、回収して級内相関係数を解析した。また、各評価者に、各項目に対する内容妥当性の評価を依頼した(5段階評価)。 第1回検討を、日本内科学会東北地方会(2016年9月)「消化器セッション」で実施した(評価者5名)。9演題14質問の級内相関係数の平均測定値は、上記5項目それぞれ、0.276, 0.683, 0.022, 0.823, 0.153であった。妥当性の平均点は、それぞれ、4.5, 3.7, 4.3, 4.3, 4.3であった。基準をより明確にして、第2回検討を、日本血液学会総会(2016年10月)「再生不良性貧血セッション」で実施した(評価者6名)。7演題16質問の級内相関係数の平均測定値は、それぞれ、0.690, 0.550, 0.142, 0.852, 0.632であった。妥当性の平均点は、それぞれ、4.4, 3.6, 3.5, 3.6, 4.6であった。 「重要性」「独自性(意外性)」「ミクロかマクロか」「benefitの及ぶ範囲」の4項目で十分な信頼性が得られた。「独自性(意外性)」の内容妥当性は議論の余地が残された。「レトリック」は信頼性が低く、評価が困難と判断された。
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