研究課題/領域番号 |
16K15305
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 拓朗 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20305361)
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研究分担者 |
添田 暢俊 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30746201)
押部 郁朗 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20570063)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シミュレーション教育 / 消化管吻合もでる / 気管形成モデル |
研究実績の概要 |
研究の目的:医療技術トレーニングとして、シミュレーション機器を使う方法(Dry ラボ)Cadaver Training、生きた動物を使う Wet ラボなどが行われている。Wet ラボは企業ラボだけでなく多くの医科大学で建設されたが、高コストの運営をどう行なうべきかが問題となっている。一方、研修医制度が開始され地方医療機関では教育機関としての役割を求められている。本研究では、臓器を柔らかい状態で固定できる新規固定液と臓器移植時の臓器摘出手技を応用して、ブタ臓器を臓器単位でしかも柔らかな状態で固定し、医学教育あるいは医療技術トレーニングにおける前述のDry ラボとWet ラボのいずれでもない新しい教育モデルを開発することを目的とする。 28年度の研究実績: 研究期間内に、①教育資材に適したブタ諸臓器の保存条件を設定し、②ブタ臓器を用いた新しい教育モデルの開発と評価を行うことにより新しい教育資材を開発することを目標としている。 28年度は、小腸固定の条件を検討し、ピロリドン含有固定液による2週間固定が適切であることを明らかにし、外科学会および国際外科学会などで報告した。今後は、小腸モデルについて教育効果を検証するために、学生100名を対象とした教育効果検証をおこなうべく準備中である。具体的には、小腸の採取から固定、固定後のパッケージ、および供給システムを確立する。教育用DVDの作成、教育効果の評価法などについて検討を加え、倫理委員会へ申請できる状態となっている。29年6月を目標に実習を開始する予定である。 心肺モデルについては、気管形成手技トレーニングモデルを作成中である。今年度は、ブタの気管分岐について右側は適さず、左側を用いるとヒトと変わらない気管形成術を経験できることが明らかとなった。現在、CTによる内腔保持状態を確認しうるシステムを開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内に、①教育資材に適したブタ諸臓器の保存条件を設定し、②ブタ臓器を用いた新しい教育モデルの開発と評価を行うことにより新しい教育資材を開発することを目標として研究を開始した。28年度終了時点で小腸モデルについては①を達成し②の段階へ進むことができている。これは、当初の計画を達成して教育効果の検証の段階へすすみつつあるため順調に進展していると考えた。さらに気管モデルについても作成できているが、今後は小腸で蓄積したノウハウと支援体制により研究の進捗速度は速まる可能性が高いと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間内に、①教育資材に適したブタ諸臓器の保存条件を設定し、②ブタ臓器を用いた新しい教育モデルの開発と評価を行うことにより新しい教育資材を開発することを目標としている。 28年度に検討した小腸固定の条件に基づき、今後は、小腸モデルについて教育効果を検証するために、学生100名を対象とした教育効果検証をおこなうべく準備中である。具体的には、小腸の採取から固定、固定後のパッケージ、および供給システムを確立する。教育用DVDの作成、教育効果の評価法などについて検討を加え、倫理委員会へ申請できる状態となっている。29年6月を目標に実習を開始する予定である。 また、福島医大のみならず、他大学との連携による他施設における教育効果の検討も行いたい。現在、北海道大学などと協議中で、実現可能な場合は共同研究者として参加していただく。将来的に、消化器外科専門医の資格取得の一段階として本モデルが何らかの役割を果たしうるのではないかと考えている。 心肺モデルについては、気管形成手技トレーニングモデルを作成中である。今年度は、ブタの気管分岐について右側は気管分岐の形状がヒトと異なるため適さず、左側を用いるとヒトと変わらない気管形成術を経験できることが明らかとなった。現在、CTによる内腔保持状態を確認しうるシステムを開発中である。さらに気管内の気流の状態をシミュレーションしうる可能性もあり、医療の安全性を高めるための一助とすべく検討中である。本モデルについては呼吸器外科医の協力が必須であるが、昨年から当施設に呼吸器外科医が赴任したため、出身教室を含めて共同研究者として加わっていただく可能性も考慮している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規固定液を用いた固定臓器の硬さ測定は他施設の機器を無料で借用することができたため、硬さ測定器の購入は行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
硬さ測定器の購入は行わないが、学生および研修医を対象とした教育効果検証を目的とした検討のため、自動縫合器を購入し、また今後の購入を予定している。また、縫合糸は実習用のものが存在しないため、臨床で使用しているものと同等の物品を購入している。したがって、支給された研究費は今年度でほぼ使い切る予定である。
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