研究課題/領域番号 |
16K15307
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (50295565)
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研究分担者 |
永田 文子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 講師 (30315858)
石川 真 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (50601134)
大野 直子 順天堂大学, 国際教養学部, 講師 (90730367)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域医療学 / 医療通訳 / リスクコミュニケーション / 外国人医療 / 通訳の正確性 / 医療安全 |
研究実績の概要 |
本年度は、外国人患者・医療者・通訳者間におけるリスク・コミュニケーションに関する実証研究として、病院に雇用されている通訳者介在による臨床結果への影響の可能性に関する調査を次のプロセスで実施した。(1)対象の研究協力医療機関と具体的な研究計画、実施可能な調査方法について話し合い、調査方法を決定した。(2) 患者、通訳者、医療者の属性に関する背景要因と診療に関する認識調査のための調査票を作成した。(3)申請者の大学、ならびに、対象医療機関の研究倫理審査委員会へ申請し承認を得た。(4)日本語とポルトガル語が話せて信頼がおける調査アシスタントを募集し、訓練を行った。(5)調査の段取りと全体の流れを対象機関の担当者と最終確認をした。(6)データを収集した。 調査対象者は、研究協力が得られた医師、病院通訳者、外来で受診したブラジル人患者(家族・同行者)とした。データ収集の方法は次のとおりである。(1) 通訳の正確性と通訳の質に関する調査として、病院通訳者が介在する診療場面(患者・医師・通訳者の3者におけるコミュニケーション)をICレコーダーで録音した。(2)患者、通訳者、医師の背景要因と医師や通訳者の説明に対する患者の理解度、満足度など3者間の認識に関する質問紙調査を実施した。医師と通訳者には自記式質問紙調査とした。患者には診療の待ち時間に調査アシスタントが調査の目的・方法を説明し参加協力の同意が得られた場合は診療前後に個別面接質問紙調査を実施した。データ収集期間は2017年2月6日から3月31日までの間の20日間とした。調査の結果、調査件数68件のうち有効回答数は63件であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画は、研究計画の実施に向けて、対象の研究協力医療機関と具体的な研究計画、実施可能な方法について話し合い、データを収集することであった。計画当初は、医療機関に雇用(または派遣、または訓練)されている医療通訳者が介在するパターン①、訓練をうけていないアドホック通訳者が介在するパターン②、通訳者が介在しないパターン③について調査を行う予定であった。しかし、対象の研究協力医療機関との話し合いの結果、今年度はパターン①のみについて調査を実施することになった。パターン②については今年度の調査結果を吟味したうえで、実施可能性を検討することになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、収集したデータを整理し、分析を行う。通訳の正確性に関する分析方法は次のとおりである。(1)録音データの逐語録を作成し、ポルトガル語の発話部分を日本語に翻訳し、バックトランスレーションを行い逐語録ならびに日本語翻訳の妥当性を確認する。(2)分析データセットを作成し、通訳変更の数を数えて量的に評価する。評価者は2名以上(複数)とし、データ数の10%において一致率を確認し、妥当性を検討する。(3)通訳のネガティブ変更のうち、臨床結果に影響及ぼす可能性がある通訳変更を明らかにする。次に、患者、通訳者、医療者の診療の認識に関する分析方法は、3者間の認識の一致率を算出して分析する予定である。 これらの研究成果を対象医療機関にフィードバックするとともに、関連の学術集会にて公表する予定である。平成30年度には、訓練をうけていないアドホック通訳者が介在するパターン②の調査の実施可能性について検討し、難しければ、訓練をうけた医療通訳者が介在するパターン①の調査を別の医療機関にて実施できるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年3月31日まで調査を実施していたため、経費残額の端数を使いきることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の配分額にあわせて、研究に必要な経費として有効に使用していく。
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