研究課題/領域番号 |
16K15307
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (50295565)
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研究分担者 |
永田 文子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 講師 (30315858) [辞退]
石川 真 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (50601134) [辞退]
大野 直子 順天堂大学, 国際教養学部, 講師 (90730367)
西川 浩昭 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30208160)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域医療 / 医療通訳 / リスクコミュニケーション / 異文化コミュニケーション / 通訳の正確性 / 医療安全 / アドホック通訳者 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、患者が連れてきた通訳者が介在した診療における調査(パターン②)を実施した。平成31年2月12日から3月28日までの26日間に、協力の得られた外国人患者受入れ拠点病院の外来診療で医師、ブラジル人患者、患者が連れてきた通訳者を対象に、対象者の背景と患者理解度ならびに満足度に関する質問紙調査と診療場面の録音調査を実施した。対象診療科はブラジル人患者が多い小児科、産婦人科、整形外科とした。調査結果は、医師、患者、通訳者の3者に同意が得られたケースが5件(有効データ)、患者または通訳者、医師のいずれかに同意が得られなかったケースが7件、対象者との連絡をうけたが何らかの理由で調査ができなかったケースが4件であった。調査期間のブラジル人患者総数は698件で、「院内通訳者を利用」が330件(47.3%)、「患者の同伴者を通訳者として利用」が98件(14.0%)、「通訳者なしで日本語対応した」が268件(38.4%)、「遠隔通訳を利用」が2件(0.3%)であった。今回の調査対象者98件のうち16件(16.3%)のみ対象者との連絡をうけた。診療科別では、小児科は37件のうち3件(8.1%)、産婦人科は16件のうち8件(50.0%)、整形外科は7件のうち5件(71.4%)であった。同意が得られなかったケースは、「患者本人は同意したが通訳者が同意しなかった」3件、「患者本人も通訳者も同意したが医師が同意しなかった」1件、「医師が録音すると知らなかった」1件、「患者と通訳者が話し合って同意しなかった」1件、「通訳者が調査の重要性はわかったがやりたくないといった」1件であった。対象者との連絡をうけたがデータがとれなかったケースは、「外来受付で調査の確認に時間がかかり患者が診察室に入ってしまった」1件、「調査にいった時にはすでに診察が終了していた」2件、「調査員がいなかった」1件であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度に実施した病院通訳者を介在した診療における調査(パターン①)のデータ分析に予想以上の時間を要した。そのために、平成29年度に予定していた患者が連れてきたアドホック通訳者が介在した診療における調査(パターン②)は延期となり、平成31年2月~3月に実施した。そのため、データ分析は令和元年に実施する。さらに、調査対象者に充分にアクセスができずにデータ数が目標を達成しなかったため、追加調査の実施可能性を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の調査では対象者が98件あったにもかかわらず、有効データは5件のみであった。特に、小児科外来では対象者にアクセスできた件数は8.1%のみで、有効データは皆無であった。本研究はリスク・マネジメントの観点から重要な意義があるため、有効データが収集できなかった理由について対象医療機関と検討し、今後の追加調査の実施可能性ならびに進め方について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に実施した病院通訳者を介在した診療における調査(パターン①)のデータ分析に予想以上の時間を要した。そのために、平成29年度に予定していた患者が連れてきたアドホック通訳者が介在した診療における調査(パターン②)は延期となり、研究最終年度末の平成31年2月~3月に実施したため残額が生じた。また、パターン②の調査ではデータ数が予想外に少なく目標を達成しなかったため、追加調査の実施可能性を検討する。未使用額はそれらの経費にあてる。
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