神経変性疾患であるパーキンソン病(PD)は、人口高齢化と、診断の早期化や治療の進展により、今後さらに患者数は増加すると考えられる。在宅療養の重要性はより一層高まり、長期療養の中でのQOL向上が重要となる。本研究は、PD患者の 社会的活動の支援とQOL向上を目的として、同じ地域の患者会を対象とし、1995年、2004年、2017年の生活上の課題等を調査した。 同地域の患者会であるが、平均年齢は1995年が69.0歳に対し、2017年は73.1歳と高くなった。同居人数は、1995年が2.9±1.6人であり、2017年は2.3±1.1人と減少した。2004年に比べ、インターネットが情報源となる割合が増えた。また、社会参加の場は増えたが、困っていると感じている割合も増えた。2017年の調査では、患者の約15%は、転倒による入院の経験があった。すくみ足や突進現象がある患者は、より転倒のリスクは高かった。転倒時は、臀部や左膝をぶつける割合が最も高かったが、受傷部位は体のいたるところであった。患者は、転倒予防のために「急がない」、「ゆっくり」と意識をしており、足を上げることや、バランスを意識し、日々の運動が重要であることも意識していた。また、睡眠については、診断前に比べ、十分な睡眠だと感じる割合は減っていた。 これからの社会の中で、PD患者の転倒予防や、睡眠への援助、心身への支援などの居宅での支援はより重要になる。転倒の経験は転倒恐怖につながり、患者自身だけでなく、周囲の人々も活動を制限し、ますます転倒のリスクは増加する。PD患者に特有のオンオフ現象やすくみ足、突進現象や、重症度などの転倒予防を具体的に明らかにし、健康寿命の延長への具体的な対策が必要となる。 なお、患者の動作分析中であるが、歩行介助などの医療従事者の技術明らかにすることで、活動の質の向上を図りたい。
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