研究課題/領域番号 |
16K15312
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
阿部 哲也 関西医科大学, 医学部, 講師 (20411506)
|
研究分担者 |
西山 順滋 関西医科大学, 医学部, 助手 (60368248)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 会話分析 / 医療面接 / 共感 / 開放型質問 / 閉鎖型質問 |
研究実績の概要 |
平成29年度は引き続き総合診療科での診察場面のビデオ記録を行い、データ収集数は初診計69場面、再診計72場面となった。 医療面接の開始部分での医師の質問の仕方は、その後の患者からの症状に関する自発的な語りの量や患者の満足度などに影響することが報告されているため、初診場面でこれを検討した。医学教育では開放型質問による医療面接の開始が推奨されているが、当データの65%では閉鎖型質問が用いられていた。またこの開始時質問に先立って、患者が診察前に記入した問診票の存在を医師と患者の間で共有する過程が全症例の92%で示されていた。さらに開放型質問使用例の76%において、医師が質問することへの過剰な補足説明や質問自体の言い換えを行い、患者が質問の聞き直しや既に問診票に記載済みであることの言及を行う例を認めた。開放型質問には患者の自由な発言を促す特長がある半面、質問者の無知の状態を示すという側面も存在している。本分析は、問診票が存在する状況での開放型質問の使用を、医師と患者の双方が不自然であると感じている可能性を示すものである。一方で、閉鎖型質問使用時に患者から自発的な病状の語りが生じる場面も認められた。これらは、医療者が患者からの情報収集の質を高めるとともに共感的態度を示すコミュニケーション技法として、問診票が存在する場面では開放型質問のみならず閉鎖型質問も、医療面接の開始時質問として有用となる可能性を示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集、共同研究者との連携が予定通りに進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
総合診療科での医師と患者のコミュニケーションのバリエーションの豊富さから、分析対象とする総合診療科診察場面を40例から100例に増やして継続していく。
|