研究課題
H29年度は、前年度に確認したAGPによる腎保護効果について、腎線維症モデルに対する効果並びにAGP誘導剤によるAGPを介した腎保護効果を検討した。加えて、前年度に引き続きAGPノックアウトマウスの作成を行った。1)片側尿管結紮によるマウス腎線維症モデルに対してAGPを予防的投与したところ、腎線維化の抑制が観察された。その際、腎組織中IL6、IL1beta等の炎症性サイトカインの抑制とCD163の産生亢進が観察された。2)THP1細胞をPMAで分化後、AGPを添加したところIL6、IL1betaの抑制とCD163の産生亢進が認められ、AGPによる腎線維化抑制効果にはマクロファージの可塑性が関与している可能性が示唆された。3)AGPを誘導する活性型ビタミンD3を投与したところ、血清中AGPの上昇が観察されるとともに、腎線維化の抑制作用が観察された。4)HepG2細胞並びにTHP1細胞にビタミンD3を添加したところ、AGPの発現上昇が確認できた。すなわち、ビタミンD3は肝細胞と単球またはマクロファージにおいてAGPを誘導することが確認できた。5)ビタミンD3の腎線維化抑制効果におけるAGPの寄与を検証するため、AGPノックアウトマウスの作成を行った。その結果、H30年3月にAGPノックアウトマウスの作成に成功した。ノックアウトマウスと用いた検討を次年度以降加えることで、腎線維症におけるAGPの寄与について検証する予定である。以上の検討より、腎線維症に対してAGPまたはAGP誘導剤が有効である可能性が示唆された。
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http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/Yakuzai/