研究実績の概要 |
平成28年度は、肝線維化への過程を、NASHモデルマウスを用いて2光子励起顕微鏡で無染色、in vivo観察し、定量的評価を行った。NASHへの進行とともに肝表面のSHGで示されるコラーゲン線維の構造変化が確認された。この成果をQuantitative imaging of fibrotic and morphologic al changes in liver of non-alcoholic steatohepatitis (NASH) model mice by second harmonic generation (SHG) and auto-fluorescence (AF) imaging using two-photon excitation microscopy (TPEM):Biochemistry and Biophysics Reports Volume 8, December 2016, Pages 277-283に投稿した。平成29年度の研究として、28年度で得られた新たな評価ポイントを指標に、治療介入後のNASHの改善過程において新たな評価ポイントに可逆的な改善が認められるかを確認するために、引き続きNASHモデルマウスを用いて、治療(栄養療法)介入を行った。9週齢のNASHモデルマウスに対してHFDをstandard diet(SD)に変更し3週間後の肝表面を2光子励起顕微鏡を用いてSHGシグナルおよび、他のバイオマーカーとの比較を行った。平成28年度で診られた肝表面のSHGシグナル変化の著明な改善(正常化)が認められた。3週間という期間では肝表面コラーゲン線維の構築の正常化が診られ、3週間以内での観察が必要であると思われた。このSHGシグナルによる評価方法が、NASHの進行および改善を予測しうる新たな客観的指標となると考えられた。また、薬剤の使用による肝線維化の改善度を評価しうる新たな指標になると考えられた。
|