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2016 年度 実施状況報告書

アポ蛋白Dの慢性炎症バイオマーカーとしての可能性探索と、その生理的機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K15330
研究機関帝京大学

研究代表者

塚本 和久  帝京大学, 医学部, 教授 (20251233)

研究分担者 長谷川 浩司  福島県立医科大学, 会津医療センター, 助手 (50443867)
蔵野 信  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60621745)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードアポ蛋白D / 慢性炎症 / 糖尿病 / インスリン抵抗性
研究実績の概要

基礎研究:ヒトアポ蛋白D(アポD)cDNAをヒト肝臓cDNAライブラリーからクローニングし、アデノウイルスベクターに組み込み、in vitro(HepG2細胞および3T3L1脂肪細胞), in vivo(野生型マウス)にて発現することを確認した。作成したアポDアデノウイルスベクターを用いて、マウス肝臓にアポDを過剰発現させたところ、興味深いことに、炎症性サイトカインは通常食飼育マウスおよび高脂肪食飼育マウスともに抑制されていた。このことから、アポDは抗炎症作用を有することが示唆された。一方、3T3L1細胞を、脂肪細胞に分化させ、アポDの発現について検討したところ、アポD/GAPDHはむしろ抑制傾向であり、in vitroモデルでは、脂肪細胞の成熟によりアポDの発現は低下する可能性が示唆された。また、アポD含有リポ蛋白の単離を試みたが、抗体の性質のためか、アフィニティクロマトグラフィでは単離できなかった。
臨床研究:健診で収集した臨床検体を用い、炎症性サイトカイン(TNFα、IL-6)、アディポネクチン、PAI-1、アポ蛋白Dを、ELISAで測定し、またインスリン値も測定した。SPSSにてアポDと様々な臨床指標や一般検査データおよび上記のマーカーとの関連を調べたところ、アポDはアディポネクチンおよびHDL-Cと正の相関、BMI、HOMA-IR、HbA1cと負の相関を示すことが示唆された。また、糖尿病合併症とアポDの関連を調べるための臨床検体収集を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

基礎研究:アポD蛋白の単離がまだできていないが、おおむね予定通りに進行している。
臨床研究:研究代表者の施設異動により、臨床プロトコール承認に遅れが生じたため、糖尿病合併症とアポ蛋白Dの検討などを行うための臨床検体収集が遅れている。

今後の研究の推進方策

基礎研究:①アポDアデノウイルスベクターを通常食飼育マウスおよび高脂肪食飼育マウスの肝臓に過剰発現させ、慢性炎症の表現型としての糖代謝について調べるとともに、肝臓、脂肪組織中の炎症性サイトカインについて検討し、アポDの標的臓器を検討する。②3T3L1脂肪細胞にアポDを過剰発現させ、炎症性サイトカイン、アディポカインの発現修飾があるか検討する。③アポD含有リポ蛋白の単離を引き続き試み、アポD含有リポ蛋白中の脂質組成について検討する。単離が難しかった場合は、アポD過剰発現マウスの脂質組成について検討する計画である。
臨床研究:①糖尿病患者を対象として、その合併症とアポDの関連を調べるための臨床検体収集を行い、ある程度の検体が集まった時点で、データ解析を行う。②本年度の検討にて、HDLとアポDの関連が示唆された故、ステロール分画や各種リン脂質を測定し、アポDとの関連について検討する。

次年度使用額が生じた理由

進行状況の欄にも記載した通り、臨床研究にて、研究代表者の移動に伴い臨床検体収集が予定よりも遅れており、ELISAキットの購入が予定よりも少なかったことが原因である。

次年度使用額の使用計画

研究全体の状況をみながら、ELISAキット、リン脂質測定、ステロール分画測定、基礎実験試薬、細胞培養、動物実験などに、必要となった部分に配分して用いる。

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公開日: 2018-01-16  

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