研究課題/領域番号 |
16K15335
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
大保木 啓介 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 副参事研究員 (80415108)
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研究分担者 |
梶原 直樹 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (70453917)
芝崎 太 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 分野長 (90300954)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PCR |
研究実績の概要 |
定量リアルタイムPCR を用いた「PCR 遺伝子診断」は、遺伝子を直接検出することから、イムノクロマト法よりも高感度・特異的で、病原体の亜型・薬剤耐性判別も容易であり、新興感染症の検出法として極めて有効である。現場での定量リアルタイムPCR装置の普及のためには「高速」、「小型」、「簡便」が重要であると考え、申請者らは複数の企業と共同で、2007 年より「超高速リアルタイムPCR 装置」の開発を行ってきた。我々のリアルタイムPCR装置はペルティエ素子で温度管理をし、大幅な小型化を図り、新設計の小型ポリマーチップ使用を特徴とする。すでに「40サイクル10分」のリアルタイムPCRを実現している。既存のリアルタイムPCR装置(Thermo社StepOnePlus、Roche社LightCycler480II)でもペルティエ素子が採用されているが、同一材料、同一プログラムでPCRを行うと、所要時間は、それぞれ40サイクル36分、25分であった。研究責任者らのリアルタイムPCR装置では40サイクル10分であることから、加熱冷却スピードは既存機種をすでに凌駕していた(加熱速度13.6℃/秒、冷却速度11.0℃/秒)。 高速PCR条件、即ち、変性-会合-伸長反応が短時間で繰り返される条件下では、特にプライマーと鋳型DNAの会合が不十分であることが予想される。我々は先入観を排除し、高速PCRサイクル条件下では、会合イベントの不足を補う固有の至適濃度が存在すると仮定し、至適条件の探索を実施中である。上記について、反応系とプログラムのさらなる最適化を検討することによって、これまで「40サイクル10分」であったところ、「40サイクル9分」を実現できたことから、概ね順調に進展していると思われ、引き続き、PCR反応系の最適化、至適プログラムの確立、装置性能の実証の3点について継続して進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応系とプログラムのさらなる最適化によって、最終的に「40サイクル9分」を実現できたことから、概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
PCR反応系の最適化、至適プログラムの確立、装置性能の実証の3点について継続して進めると同時に、実際の臨床検体での検証、RNA検出(逆転写+超高速PCR)の実証(RNAウイルスの検出)、遠心機を使わない核酸抽出のための前処理法の開発を計画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定の範囲内であるが、人臨床検体や標準物質を用いる実験に至らなかったために、本年度の試薬購入費がやや減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分は、人臨床検体や標準物質を用いる実験のための試薬購入費等に充てる。
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